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新型インフルに便乗、派遣切り横行 渡航こじつけ解雇も

2009年6月10日3時57分

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写真派遣社員の相談を受け付ける窓口。新型インフルエンザを口実にした派遣切りの問い合わせにも応じる=9日午後、東京都文京区の全労連会館、上田潤撮影

 新型の豚インフルエンザが国内で発生してから1カ月。旅行中止や営業自粛など企業活動に影響が出たことで、派遣切りされたり、突然解雇されたりする人が出てきた。感染国への旅行を口実に解雇されたケースまである。不況と相まって、人員削減が続く恐れもある。

 「インフルエンザのせいで、売り上げが落ちて会社が危ない。来月末で辞めてもらうから」。都内の大手旅行会社の支店で派遣社員として働く30代女性は5月下旬、朝礼のときに上司に告げられた。

 店には修学旅行などのキャンセルが殺到。同僚の派遣の女性と「私たちクビになっちゃうかも」と冗談交じりに話したばかりだった。支店のスタッフ7人のうち、4人が派遣社員。2人は7年間、自分も3年間働いてきた。その全員が解雇された。

 「派遣とはいえ、店を支えてきたという自負があった。それがあっさりクビになるとは……」。女性は嘆いた。

 京都市のホテルで正社員として働く20代男性も、6月末での解雇を言い渡された。新型インフルの影響で宿泊客が激減し、入社3年目までの社員と派遣社員が段階的に解雇される見通しだという。

 東京の中堅旅行会社・メトロポリタンは予約キャンセルで5月の売り上げがほぼゼロになり、事業を停止し、自己破産申請の準備を進めている。JTBも5月29日現在、キャンセルが国内外合わせて15万人に上り、151億円減収との試算を発表した。

 旅行・観光業界は例年5、6月は夏休みシーズン前の稼ぎどきで、派遣や契約社員が重宝される時期。しかし、今年は不況に加え、高速料金の値下げで身近な日帰り旅行が増え、新型インフルをあわせて「三重苦」という。

 一方、おおさか労働相談センター(大阪市)には、大学の臨時講師の女性から「海外旅行を理由に解雇された」という相談が寄せられた。感染者が出た国に行くことは事前に大学側に伝えてあったが、帰国後、「受講生への影響が心配」として言い渡された。感染していないことが分かっても状況は変わらなかった。

 食品会社の派遣社員としてアメリカに赴任中の30代女性は近く帰国する予定だったが、「日本でもインフルエンザの影響は深刻。戻ってきても仕事がない」と会社から契約終了を言い渡された。外資系航空会社で派遣で働く女性はメキシコ行きの機内での仕事に不安を訴えたところ、会社から「インフルにかかっても自己責任」「断れば違約金を請求する」と言われた。

 東京都労働相談情報センター(千代田区)にも、新型ではないが、インフルエンザに感染して会社を長く休んだために「仕事をする気はないのか」「迷惑をかけられた」などと陰口をたたかれ、職場に居づらくなっているという相談が複数寄せられた。(島康彦)

■性急な解雇、有効性が問われる

 労働問題に詳しい小川英郎弁護士の話 インフルエンザの影響は一過性なのに、それに便乗して解雇しようというケースもあるのではないか。性急な解雇は、有効性が争われることになりかねない。一時帰休などの方法も考えるべきだ。労働者側も専門家や労働団体に相談し、労働審判を申し立てるなど職場に戻る活動をすべきだ。

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