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新型インフル対策、秋に照準 マニュアル見直し進む

2009年6月27日14時4分

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写真新型インフルエンザで47の保育園と幼稚園が休園となった長野県飯田市。再開された幼稚園には子どもたちの歓声が戻った=23日、平林敬一撮影

 新型の豚インフルエンザの国内感染者が千人を超えたが、企業や学校の冷静な対応が功を奏している。産業医や保健所と連携した柔軟な対応で、必要以上の業務の停止や休校を抑えることができた。秋以降の「第2波」に備え、対応マニュアルの見直しも進んでいる。

 「遺伝子検査も陽性でした」。茨城県つくば市の産業技術総合研究所に保健所から「感染確認」の連絡が入ったのは16日午後11時過ぎ。米国に出張した男性研究員が、帰国後に発熱やのどの痛みなどを訴え、簡易検査でA型の陽性が出ていた。

 研究所ではすでに研究員の足取りを確認し、29人の「濃厚接触者」を絞り込んでいた。深夜だったが対象者に連絡し、1週間の自宅待機を伝えた。感染は広がらなかった。

 研究員が所属する研究所には2千人以上が勤務する。4月末に対策本部を設けた。「発生時の緊急連絡網を作っておいたので、冷静に対応できた」。担当者は振り返る。

 日本郵政グループの郵便局会社は22日、東京都港区の赤坂通郵便局に勤める男性社員が新型インフルエンザに感染したと発表した。窓口業務を抱えるため、「感染拡大の防止策」として社員6人を自宅待機にし、他局からの応援で通常通り業務を続けた。社員の初感染だったため、保健所と産業医の意見を参考に判断したという。

 今秋にも予想される「第2波」に向け、郵便局会社は「グループで連携して対策を講じたい。計画の見直しも検討していく」という。

 事前の準備が役立った学校もある。集団感染が起きた港区の正則高校は10日、最初の感染が分かるとすぐに保健所に相談。生徒全員の検温と問診で感染の疑いのある人を抽出した。

 5月から「感染は起こりうる」と対策を練り、マニュアルを作っていた。休校を決めた日に家庭学習のプリントを配ると、生徒たちは「対応が素早い」と苦笑いしたという。生徒と教師の計19人が感染したが、22日から授業を再開した。

 「第2波」に備えた政府の運用指針の改定も、柔軟な判断を後押しする。福岡市の市立宮竹小学校では女児の感染が確認された。市教委はそれまで1人でも感染すれば臨時休校にしていたが、「集団感染の兆候もなく、決定直前に改定の通知が来た」ため、女児の学級が7日間の学級閉鎖になっただけだった。

 流行初期には対応に追われた航空会社も通常に戻った。全日空は22日に欧米路線を担当する機内清掃員のマスク着用をやめ、ラウンジの消毒や検疫の特別対応を終えた。日本航空も通常態勢に戻ったが、「備えは常に意識している」と話している。(見市紀世子)

     ◇

 秋以降に予測される新型インフルエンザの「第2波」に向け、課題は多い。

 新型インフルエンザウイルスはいまのところ病原性は高くない。国は原則としてすべての医療機関で患者をみるように求めるなど、通常の季節性インフルエンザに近い対応にする方針を打ち出した。

 だが、インフルエンザウイルスは特徴を変えやすい。国立感染症研究所の岡部信彦・感染症情報センター長は「(変化に応じて)スイッチを切り替えなければならない」と指摘する。そのためには、ウイルスや病状の変化を注意深く監視する必要がある。

 「季節性と大差ない」との油断が広がることで、自治体や企業などで、病原性が高くなった場合の準備が進まなくなることを懸念する声は少なくない。米国はあらかじめ、感染の広がりだけではなく、症状の程度に応じて、とるべき対策を分類している。

 病原性に変化がなくても、感染者が増えれば、重症者が増えることが避けられない。リスクが高いとされるのは妊婦や血糖値の管理ができていない糖尿病患者など。政府の新型インフルエンザ専門家諮問委員会の尾身茂委員長は「感染を最大限防ぐための医療体制の整備が必要」と話す。

 新型のワクチンについて厚生労働省は年内に2500万人分を用意できる見通しを示している。希望者全員への接種は難しい状況だが、優先順位もまだ決まっていない。(武田耕太)

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