
嶋聡・ソフトバンク社長室長
〈ソフトバンク社長室長の嶋聡さん〉
私にインタビューに来たのだから、NTTの光通信網の独占を批判してくれる、と期待しているでしょう。しかし、私も元衆院議員。非常に大事な選挙だからこそ、もっと大きな提言をしたい。
私の造語だけど、それは光ニューディールです。米国などが進めるグリーン・ニューディール(緑の内需)に言葉を借りたのですが、光ファイバーによる通信がどこからでもできるよう、国の力で各世帯、学校、病院、企業のすべて、計約5500万カ所にネットを整備するのです。
それで、今よりずっと安く、各世帯が「光通信」(超高速ブロードバンド、BB)でインターネットとつながる。そうすれば、キーボードタッチが苦手なお年寄りも、キーボードなしのタッチパネルで様々な情報にアクセスできるようになる。遠隔地医療を手がける大型病院の支援もできるし、地域による教育格差も解消される。当社の試算では、名目国内総生産(GDP)で2%半ばの成長、約50万人の雇用創出が実現する。
総務省は「次世代ブロードバンド戦略2010」で、10年度には超高速BBの「世帯カバー率」を約90%にすると言っていますが、実態に即していません。それは、いわば、電信柱までの話。そこから各世帯までつながったのが「普及率」という見方をすると、たった約28%。実際、08年の経済協力開発機構(OECD)の資料をみると、普及率1位はデンマーク。米国が15位、豪州16位、日本は17位です。
昨年末、豪州を視察すると、政府と民間の新会社で約3兆円をかけて、全世帯の9割を結ぶ計画を進めていました。差をつけられてしまうのは確実。それを考えると、定額給付金にかけた2兆円がもったいない。今の日本だったら約2.5兆円でできるんです。年に5千億円で5年ですから。ただ、やるとしても総務省任せじゃだめ。首相直属の機関で決めるべきです。(聞き手 桂禎次郎)
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総務省によると、日本のブロードバンドの契約数は、3月末で3033万。通信速度が遅いDSLと光ファイバーを使った高速の光通信などがあり、各契約数は1118万、1502万。