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〈伝えたい―阪神から〉孤独死防ぐ「つながり」を

2011年4月4日0時22分

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写真:上野易弘さん上野易弘さん

■上野易弘さん(53) 神戸大大学院教授

 阪神大震災で問題になったことの一つに、被災後の「孤独死」がある。誰にも看(み)取られずに一人きりで亡くなり、見つかるまでにも時間がかかる悲しい死だ。

 震災後の1995年3月から99年7月に、兵庫県内の仮設住宅で孤独死した253人の死因を調べた。7割が男性で、50、60代が多かった。飲酒が原因とみられる肝疾患が死因の大きな割合を占めた。

 全体の入居者数に対する孤独死の割合は検証できなかったが、特に男性は女性に比べて近所付き合いが苦手で、閉じこもりがちになる。家財を失い、仕事がないためにすることがなく、将来への不安をアルコールで紛らわすことになったのかもしれない。

 いま、東日本大震災の被災地でも仮設住宅が建ち始めている。孤立を防ぐために、震災前の人と人とのつながりを保って、地域ごとに同じ場所に移ることは重要だ。

 早期の入居を優先させて機械的に割り振り、地域のつながりを切り離すと、見ず知らずの人たちに囲まれて生活をしなければならない人が大勢できてしまう。

 中高年にとり、一から人間関係を築くのは簡単なことではない。性格的にそれができる人もいるかもしれないが、そうでない人もいる。だから、きっかけづくりを手助けする仕組みが必要だ。

■移転先では自治会つくって

 移転先では、自治会をつくって入居者全員で役割を分担するといい。ごみ当番でも、回覧板を配る役でもいい。とにかく被災者同士が顔を合わせて、会話をせざるを得ない状況をつくる。外側からの支援だけではなく、内側に仕組みをつくることも大切だ。

 復興が進んでいけば、自治体が用意する災害復興住宅への転居も考えられる。神戸市にある復興住宅群「HAT神戸」には、水道が長時間使われないと警告が出るシステムを導入しているところもある。機械的で味気ない仕組みだが、入居者が不快に感じない程度に見守る手法の一つだ。

 東日本大震災発生後の14〜20日、法医学の医師として岩手県山田町で死体検案にあたった。今回の震災は被災範囲が広く、住んでいた土地から遠く離れた場所に移る人もいる。周りに気軽に訪ねていける知り合いがいないと、孤立感が募りやすい。今後の人間関係づくりがとても大切になってくるだろう。(聞き手・山崎聡)

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