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王国の威信回復かけ…国産ロボット、福島原発に投入へ

2011年4月22日15時0分

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写真:福島第一原発の事故現場に投入される国産ロボットQuince。右は千葉工大未来ロボット技術研究センターの小柳栄次副所長=千葉工大拡大福島第一原発の事故現場に投入される国産ロボットQuince。右は千葉工大未来ロボット技術研究センターの小柳栄次副所長=千葉工大

図:国産ロボットの作業計画拡大国産ロボットの作業計画

 東京電力福島第一原発の事故現場に、ようやく国産ロボットが投入される。日本のロボットは「実戦経験がない」と信用されず、まず現場に入ったのは米国製だった。「ロボット王国・日本」の威信回復なるか。

 投入されるのは、千葉工業大未来ロボット技術研究センターの小柳栄次副所長や東北大の田所諭教授らが開発した災害救助用ロボット「Quince(クインス)」。長さ66センチ、幅48センチの車体に戦車のようなクローラー(無限軌道)が大小五つ。カメラやセンサー、ドアノブを回すアームも備えている。

 2009年のロボカップレスキュー世界大会では運動性能部門とアームの性能部門で優勝した。米国の模擬災害現場で実験した際、がれきの走行や階段や坂を上る性能などで米国製を圧倒したという。

 今回の原発事故に対応するため、無線操作できる距離を2キロに延長、有線でも使えるよう改造した。遠距離操作できるよう、強い電波の使用も特別に認められた。日本原子力研究開発機構の研究所で放射線の耐久試験も。5時間かけて10万ミリシーベルトをあてても問題なかった。作業員の被曝(ひばく)線量の上限の400倍に相当する。

 東電などの作業員が操作の訓練を受けた上で事故現場に投入する予定。原子炉建屋内部の様子、放射線量、温度などの調査を期待されている。操縦者は2キロ離れたところから無線で指示を出す作戦だ。

 産業ロボットなどでは世界的なシェアと技術を誇る日本。事故以来、日本のロボット研究者には国内外から「日本のロボットをなぜ原発に使わないのか」との声が相次いでいるという。

 「日本は実績がないから、東電は外国製を使いたがる」。東京工業大の広瀬茂男教授は嘆く。欧米のロボットは戦場での経験があり、核戦争を前提にした試験も受けているとされる。

 実は、日本でも原発用ロボットの開発を計画したことが2度あった。

 1度目は1979年の米スリーマイル島原発事故を受けて83年に始まった、建前は「点検」用の極限作業ロボットプロジェクト。90年まで約200億円かけたが、打ち切りに。2度目は99年の茨城県のJCO事故の後。今度は事故用で数十億円使ったが、「原子炉では事故は起きない」と1年で終わった。

 「事故用ロボットを開発すると『原発事故が起きると思っている』と受け取られると考えたのでは」と広瀬教授は推測する。(岩田誠司、鍛治信太郎)

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