内閣府の原子力安全委員会=班目(まだらめ)春樹委員長=で原発の安全を審査する審査委員76人(12月現在)の半数近い37人が、過去5年に、審査される立場にある電力事業者とその関連組織に所属していたことがわかった。安全委への自己申告から明らかになった。
安全委は電力事業者や国を指導する立場にある。多くの審査委員が、審査する側とされる側の双方に所属していたことになり、線引きがあいまいな実態が浮かんだ。
審査委員は大学などで原子力や耐震性、放射線を専門とする研究者らで非常勤。安全委は2009年、電力事業者や原子力関係機関、学会、行政庁との関係を審査委員に自己申告させて公開することを決めたが、2年以上公開を怠っていた。朝日新聞が今年11月に指摘し、ホームページで初公開された。
朝日新聞が分析すると、計32人の審査委員が、安全委の審査を受ける電力事業者・原子力関係機関の設置組織で原子力に関する助言をするメンバーに就いていたり、電力事業者の常勤職員を務めていたりした。
具体的には、東京電力▽中部電力▽放射性廃棄物の処理が業務で電力事業者の出向者が多い認可法人「原子力発電環境整備機構」▽高速増殖原型炉もんじゅを運営する独立行政法人「日本原子力研究開発機構(JAEA)」がそれぞれ設けた技術研究会や委員会に所属していた審査委員がいた。JAEAの場合は、常勤職員も審査委員にいた。
このほかでは、東電などが株主の原子力コンサルタント会社「日本エヌ・ユー・エス」▽電力事業者が全額出資するシンクタンク「電力中央研究所(電中研)」が設けた研究会や委員会に、計3人が所属。研究会などには属さないが、電中研の常勤職員2人も審査委員にいた。
審査委員は、班目委員長ら5人の常勤の安全委員のもとにある二つの審査会のメンバーとして、原発新設や核燃料加工など安全にかかわる多岐の審査をする。安全委の審査指針課は「専門性を持った研究者は少なく、専門性と中立性を総合的に考慮して委員を選んでいる。所属組織の審査には参加させないようにしている」と説明している。安全委員は常勤を理由に申告の対象になっていない。(大谷聡、二階堂祐介)
福島第一原発の破綻を背景に、政府、官僚、東京電力、そして住民それぞれに迫った、記者たちの真実のリポート