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2012年3月5日12時22分
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福島の笑顔、カンヌに発信 昭和の暮らしを短編映画化

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写真:字幕の確認をする前田茂司さん=東京都渋谷区拡大字幕の確認をする前田茂司さん=東京都渋谷区

 福島県が、昭和の福島の暮らしや風景を編んだ短編映画をフランスのカンヌ国際映画祭コンペティション部門(短編)に応募した。4月中旬までにある選考に通れば、5月の同映画祭で上映される。「世界の人々に福島の笑顔を見てほしい」との願いを込めた。

 応募したのは、県内の家庭から寄せられた様々な8ミリフィルムを15分弱に構成した「フクシマ モノクローム〜時代の中からの手紙」。映像保存事業の一環で県が制作した。

 家庭に残る8ミリフィルムが劣化する前にデジタル化して残そうと呼びかけ、1960〜70年代を中心とした昭和の映像が750本ほど集まった。その直後、東日本大震災が起きた。津波に襲われた沿岸部のものもあり、はからずも貴重な映像となった。

 映像制作を担当した東京の「楽映舎」は、震災後、「福島の人の心に響き、元気づけられるものにしよう」と編集方針を変えた。ひな祭り、ラジオ体操、社員旅行など日常の風景を淡々とつないだ。どの場面にも人々の明るい笑顔がはじけ、福島県出身の俳優梅沢富美男さんの軽妙で温かいナレーションが全体を包み込む。

 震災後の風景はあえて入れなかった。こんなふるさとを奪われてしまった悲しみに想像を巡らせてほしいと考えたからだ。

 昨年11月に県内の映画祭で初めて上映された。約400人の観客の多くが涙を流した。震災で失われたものもあるけれど、心の中に決して失われないものもある。昭和の笑顔が、何よりも福島の人たちを励ました。

 制作の総指揮を執った楽映舎の前田茂司社長(49)は、昨年、カンヌに出品された市川海老蔵さん主演の「一命」のプロデューサー。「この映像を、もっと多くの人に見てほしい」「前田さんの力で何とか世界で上映できないか」と訴える観客もいて、カンヌ挑戦へ機運が高まっていった。

 前田さんは「カンヌは社会性のある作品への関心も高い。非常に狭き門だが、世界最高峰の映画祭を足がかりに、世界各国での上映につなげられたら」と話す。

 「この笑顔を福島から世界中の人たちへ」。映画は、この字幕で締めくくられる。(山田佳奈)

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