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「数キロ内陸まで津波」 東大地震研・佐竹教授

2011年3月12日10時16分

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写真拡大津波で流された家が橋の上に乗り上げていた=12日午前7時5分、宮城県気仙沼市、朝日新聞社ヘリから、葛谷晋吾撮影

写真拡大火力発電所の周辺は、津波で流された車などが散乱し、荒れ果てた様子だった=12日午前8時29分、福島県新地町駒ケ嶺

写真拡大海岸沿いの防風林だったという松の木が、数キロ先の住宅地に押し寄せていた=福島県相馬市

 被災から一夜明けた12日朝、インド洋大津波など津波の調査経験が豊富な東京大学地震研究所の佐竹健治教授(地震学)が朝日新聞社機「あすか」に乗り、上空から被害の様子を調べた。

 朝日新聞社機は東北地方を太平洋岸に沿って北上した。沿岸では田畑や住宅地が水浸しになっており、岩手県大船渡市から福島県相馬市周辺まで約150キロにわたって津波による壊滅的な被害を受けていることが確認された。

 佐竹教授は「相馬市から仙台市、宮城県石巻市、大船渡市にかけては、岸から陸にむけて数キロの幅で広い範囲が浸水している」と指摘。海岸沿いで地盤が沈降したため、押し寄せた水がたまったままになっている可能性があるという。

 佐竹教授は「インド洋大津波などで集落が消えてしまうような被害を見てきたが、同じような被害が日本でも起きるとは」と話した。

 宮城県女川町では、海岸近くの住宅が広い範囲で押し流されているのが確認された。「女川では、住宅やビルの被災状況からみて、押し寄せた津波が湾で狭められて、高さが10メートル近くになったとみられる」という。

 同県気仙沼市の沿岸部では、オレンジ色の炎と白い煙があちこちで確認でき、沖合へ流れ出た油が海面に広がっていた。「気仙沼で打ち上げられた船は、岸壁から1キロ近く押し流されている。津波の強さと高さを示している」と佐竹教授は話した。午前7時50分現在、火災は大船渡でも続いていた。

 岩手県陸前高田市の海岸付近の低地では、ビルを除くほとんどの建物が壊され、押し流されていた。木造住宅が残っている高台とは対照的で、佐竹教授は「壊れた住宅のがれきが2、3階建てのビルの上に押し上げられており、ここでも津波の高さは10メートル近い。沿岸付近の家の壊れ方は予想以上にはげしい。海からの高さのわずかな差が、被害を大きく分けている」と話した。

 三陸沿岸の歴史的な巨大地震で、津波だけで千人以上の死者が出たとされる869年の貞観地震(M8.3)では、津波が当時の海岸から仙台平野では1〜3キロ、石巻平野では3キロ以上にわたって広がったことが、これまでの調査で分かっている。佐竹教授は「今回の巨大地震でも、貞観地震と同様のメカニズムで大規模な浸水が起き、多数の死傷者が発生した」とみる。

 福島県沖から宮城県沖にかけての広い範囲で、陸から押し運ばれたとみられる流木やごみが沖合に帯状に連なる様子がみられた。場所によっては沖合10キロ近くまで広がっている。(山本智之)

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