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原発、独は7基一時運転停止決定 仏は推進継続

2011年3月16日2時15分

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 福島第一原子力発電所で続く爆発、放射性物質の漏出は、欧州のエネルギー行政を揺るがし始めた。15日、ドイツは原発7基を一時運転停止することを決定。スイスも建設計画に待ったをかけた。

 ドイツの動きは早かった。メルケル首相は12日に国内すべての原発の点検を表明し、14日には昨秋に決めたばかりの「原発の運転延長政策」の凍結に踏み込んだ。さらに15日には、国内17基の原発のうち1980年までに稼働を開始した7基の運転を3カ月間停止すると発表した。

 ドイツなど欧州の環境運動にとって原発は長く敵だった。それが地球温暖化対策の盛り上がりに伴い、風力や太陽光と並んで二酸化炭素を出さないエネルギー源として位置づけられるようになった。メルケル政権はその流れに乗り、シュレーダー前政権の「脱原発」政策を転換。ただ、その判断に対して違憲訴訟が相次ぐなど原発の是非は国論を二分したままだった。

 そこに起きた福島の事故は「日本のような高度な安全基準を備えていた国でもこうした結果を避けることができなかった」(メルケル首相)という認識につながった。支持率が伸び悩むメルケル政権にとっては、今月下旬の地方選挙対策という意味でもすばやい対応が必要だった。

 国民の反原発感情の高まりを少しでも和らげようとしたのは、スイスも同じだ。ロイタルド・エネルギー担当相は13日の国営テレビで、スイスの原発の安全性を強調しながらも、「原発のリスクの計算が誤っていないかどうかを検証する必要がある」と発言。14日、「安全性を再確認するまでの間」の原発の改修・建設計画の凍結方針を正式決定した。

 ロイター通信によると、非核化を憲法に明記しているオーストリアのベルラコビッチ環境相が13日、欧州の原発について耐震性などを調べる「ストレステスト」を欧州連合(EU)各国に提案する考えを示した。

 ただ、脱原発が勢いを得ているとまでは言えない。福島の状況を見つめながら、国内世論の行方を読み取ろうとしているのが各国の現状だ。EUの大勢は「欧州には140を上回る原発がある。しばらくの間、なくなることはない」(地球温暖化担当の欧州委員)との立場だ。

 発電総量の8割近くを原子力でまかない輸出にも力を入れる原発大国フランスのサルコジ大統領は14日、大統領府で与党議員に対し「脱原発は論外」と発言。フランス電力公社(EDF)の広報担当は同日、朝日新聞に「政府からの既存の原発の点検や新規設置計画の見直しなどの要請は受けていない」と述べた。

 しかし、議論が進めば安全規制の強化につながるのは必至だ。英王立国際問題研究所のフロガット氏は「温暖化対策のために将来どんなエネルギーを使うかは経済要因で決まる。規制が強まれば、投資家からみて原発以外のエネルギーがさらに魅力的になっていくだろう」と語り、原発の地位低下の可能性を指摘する。(ベルリン=松井健、ジュネーブ=前川浩之、ウィーン=玉川透、パリ=稲田信司、ロンドン=有田哲文)

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