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地震、生活苦、加えて放射能 福島の農家に三重苦

2011年3月20日20時54分

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 福島県では県産の牛乳と、南隣の茨城産のホウレンソウから放射性ヨウ素などが検出され、農家に戸惑いや不安が広がっている。

 牛乳は19日に続き、20日も新たに4カ所で検出。県は県内全域での販売自粛を決めた。約300の酪農家でつくる県酪農協同組合は、20日の出荷を中止。組合幹部は同夜、「在庫を廃棄することに決めた」と語った。

 郡山市で牛乳販売店を経営する男性(47)は「地震、生活苦にこの事態と、トリプルパンチ。先のことを考えると……」と嘆く。仕入れのめどが立ち始めていたが、先行きが見えなくなった。

 原発から約60キロ離れた福島市内の農産物直売所では20日朝も、白菜やホウレンソウなどの野菜が店頭に並んだ。

 県は19日の時点で、原発の半径30キロ以内について農産物の出荷自粛を求めた。さらに20日夜になって、農産物のサンプリング調査の結果が出るまでは、県内全域で露地もの野菜の出荷を自粛するようJAなどに要請した。

 直売所での葉物野菜の売れ行きは19日から少し鈍ってきた。ハウス栽培のレタスを直売所に出荷した鈴木幸男さん(61)は「お客さんが敏感になって、手を出さなくなっていくのでは」と心配する。20日を最後に当面は出荷をやめるつもりという。ガソリン不足で3日ぶりに出荷した羽田良一さん(72)は、春野菜の作付けに頭を痛める。仲間には見送る動きもあり、「事態を収束させ、安心して作れるようにして」と訴える。

 物資不足の被災地では、野菜直売所は貴重な食料調達の場でもある。買い物に来た主婦(49)は「不安はあるが、ここで買わないと食べるものがない」。直売所の斎藤恵店長(34)は「お客様が安心して買えるよう正確な情報を早く出してほしい」と話す。

 会津美里町の農業生産法人「グリーンサービス」の新国文英さん(57)は、コシヒカリを通信販売している。原発事故後も注文は順調で、連日精米に追われる。ただ、先行きについては「福島県というだけで一緒くたにしてほしくない」と不安を口にする。

 「首都圏の市場が県産野菜を受け入れなくなるのでは」との心配も出ている。それでも、会津若松市の農家、佐瀬正さん(65)は「福島の野菜を信じてくれる消費者がいる限り、出荷を続けたい」と話す。(池田拓哉、古庄暢)

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