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枝野官房長官の会見全文〈25日正午前〉

2011年3月25日14時40分

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 枝野幸男官房長官の25日正午前の記者会見の内容は次の通り。

 【冒頭】

 まず、私の方から大きく三つ報告申し上げる。本日は定例の閣議があった。閣議の概要は一般案件など11件、政令、人事が決定された。大臣発言として、環境大臣から自動車排出窒素酸化物および自動車排出粒子状物質の総量の削減に関する基本方針の変更について。総務大臣から消費者物価指数について発言があった。

 また、閣議に先立ち、3回目になる電力需給緊急対策本部を開催した。この会合においては、経済産業大臣より東京電力管内における計画停電の実施状況と今後の電力需給の見通しについて報告があった。それによれば、現時点の見通しでは、本年夏の需要ピーク時には少なくとも1千万キロワットをこえるような電力需給ギャップ、全体の需要から考えると2割前後の供給力不足が生じるおそれがあるという状況だ。

 こうしたなか、計画停電にできる限り頼ることなく、需給ギャップを埋める方策を検討する。具体的には供給力の拡大に最大限努力するのは当然として、需要面において産業業務部門の業務活動のあり方や、国民の生活様式まで踏み込んだ抜本的な対策を早急に検討することとし、関係省庁、関係業界との連携、相談を含めて早急に進めていただくようお願いをした。今後は本部の下の幹事会で実務的な検討を行いつつ、随時本部会合を開催しまして、4月中をめどに本年夏に向けた電力需給対策をとりまとめる。

 3点目。福島第一原発から20キロ〜30キロの屋内退避地域の状況について。昨夜、原子力災害現地対策本部を通じ、屋内退避指示の対象となっている区域の市町村長に対し、住民の皆さんへの生活支援などの促進などについてお願いをした。その内容を申し上げる。

 福島第一原子力発電所周辺の20キロ〜30キロの区域では、万が一にも健康に影響を及ぼすことがないよう、屋内退避を指示しているところだが、この区域においては自主避難を希望する方が増加するとともに、商業・物流などに停滞が生じ、社会生活の維持継続が困難となりつつある。また、今後の事態の推移によっては、放射線量が増大し、避難指示を出す可能性も否定できない。こうした状況を踏まえ、この区域内の住民の皆さんの生活支援、および自主避難を積極的に促進するとともに、避難指示を想定した諸準備も加速する必要がある。

 政府としては、生活支援の充実を図るとともに、避難に際しては、移動のための手段の確保、受け入れ施設の確保など、円滑な実施に向けて最大限の努力を行う。地元市町村におかれては、住民の皆さんの自主避難を促進していただくとともに、政府の避難指示が出された場合には、ただちに避難を実施に移せるよう、国、県と密接な連携を図り、適切に対応をお願いする。こうした内容の当該地域の市町村長に対するお願いを昨日出し、これにのっとり、政府として生活支援の充実。および自主避難についての移動の手段の確保、受け入れ施設の確保など、円滑な実施に向けた最大限の努力をさらに徹底するよう関係機関に指示をした。

 【退避問題】

 ――福島第一原発の20キロ〜30キロの地域の人に対するお願い。より積極的に市町村から自主避難をするよう呼びかけるということか。

 これはまさに自主なので、呼びかけというよりも、まさにいま現地の皆さん、物流などが滞っている状況の中で、大変ギリギリの苦労をお願いしている状況だという認識をしている。そうした状況の中で、当然、生活支援について強化をするのは当然だが、同時に、自主退避という手段もあるということについては、地元を通じて周知をしてもらった方がいいのではないかという判断だ。

 【被曝(ひばく)事故】

 ――昨日の原発で起こった被曝事故。その後の作業員の容体は。今後の作業に与える影響についてどのように考えているか。

 被曝された作業員の方の状況は特段新しい状況は入っていない。福島の方の専門の病院から、放射線医学総合研究所の方、さらに専門性の高いところで、しっかりと診察、治療をしてもらうことで対応していると聞いている。現地においては、こうしたことの起きないように放射線についての管理、労務管理をしっかりと徹底するよう指示をしたところだ。同時に、現場の作業においても、今回の場合は、建屋の中に水が入っていたということなので、そうした水の排除を含めた、作業環境をしっかり整えるということを、もちろん原子力発電所の全体の対応のスピーディーさが求められているわけだが、安全の確保という観点から、そうしたことをしっかりと進めた上で作業にあたるようにということで、作業を進めてもらっている。そうした意味では、特に水が入って今回、被曝事故が起きた3号機については、若干作業の手順が遅れることになるというふうに聞いている。

 ――被曝の原因。高濃度の放射性物質が検出されたが、原因も含めて現在の3号機の状況は。

 3号機の状況そのものについては、特段新しい状況が生じているわけではない。ただ、高濃度の水が建屋のなかにあったと、張っていたということについての原因。どこからどういうふうなルートでそうした水が来たのか、どういったところで放射能をあびることになったのかということについては、可能な限り原因究明するようにという指示は出している。

 ――核燃料棒の損傷の可能性も指摘されているが。

 これについては、この2週間のプロセスの中で、原子炉内の燃料棒が水に十分に浸されていなかった時間がそれぞれあったということはこの間、ご報告をしてきている通りであり、そうしたときに燃料棒が若干の損傷を受けた。ただし、その程度が外側からではわからない。ただし、一定の損傷を受けたということは、従来ご報告している通りだ。だからこそ、それによる影響、外から計れる放射線量のモニタリングなどを以来、強化をして観察をしているという状況だ。

 【退避問題その2】

 ――自主避難を促進すると言うが、なぜいまなのか。促進なら、なぜ避難指示をしないのか。

 一つは、当該地域で自主避難を希望する人が現実に多くて、現に自力で避難されている方が相当数いる。同時に、商業・物流などに停滞が生じていて、当該地域に屋内退避をしているみなさんの生活をこれ以上長期にわたって維持することがなかなか困難な状況にある。こうした社会的な要請から自主的に退避をしてもらうことが、これだけ長期にわたった状況では望ましいのではないかと判断して、そうしたことを市町村と連絡をとった。

 ただ、これいわゆる「退避指示」については、放射能・放射線との関係で退避指示とか屋内退避の指示をするのが、これが原則、基本だ。新たに、現時点で20キロ〜30キロの地域に屋内退避の指示を出した時点と比べて、状況が新たな段階に入っているのではない。その原子力の被曝から健康を守るとの観点での退避指示とかいうことには直接つながらない。ただ、この退避指示などの仕組みを安全性の観点とは別に、社会的要請の観点から出しうるものなのかについては、原子力安全委などにご検討は頂いている。

 【農作物】

 ――厚労省の農作物への放射性検査は、いまだ宮城のみ実施してない。改めて要請するか。県が実施しない場合、国で実施して発表する可能性もあるか。

 農作物や水道については、主たる権限が地方にある仕組み。まさに国としても直接モニタリングできる部分について、あるいは、自治体によるモニタリングが十分でない部分について、しっかりと国の方で行っていくという大きな方針のもとにある。宮城は震災、津波による大変大きな被害を受けているので、県の事情も考慮しないとならない。国の方で持っているモニタリングの総量、できる総量に限りはあるが、そうした事情も考慮にいれて国として直接できるモニタリングをそうした時点で行っていくかについては、日々検討見直しをしながら進めているところだ。

 【退避問題その3】

 ――20キロ〜30キロ圏内は放射線量が増大する可能性もあるということだが、自主避難呼びかけは福島原発が予断を許さないことに関係あるのか。それとも社会的要請か。

 まず大前提として福島原発がしっかりと安定して落ち着いて、放射性物質が外に出るという状況がなくなったり、大幅に減れば、逆に収束に向かって、避難についても(なく)なる。現時点は、悪化を防ぐという状況はこの間キープしている。悪化を防ぐ状況をできるだけ長くキープすれば、その間に改善の方向に向けた手当てが次々行われているわけで、決してまだ予断を許す状況にはないということ。そのことが当然の前提にある。

 ――20キロ〜30キロ圏内で、自主避難要請した市町村名は。

 間違えるといけないので、改めてきちんと張り出すなり報告する。

 ――自主避難は、放射線量が拡大することが否定できないと。避難指示などの範囲が広がる可能性は。

 もちろん原発の状況が、現状は悪化を防いでいる状況をしっかりとキープ出来ていると思う。まさにこの間、どういう状況になるのかについては予断を許さない状況が続いている。どちらの方向にも今の段階で予断を持って何かを申し上げられる状況にはない。常に原発の状況、それから様々なモニタリングの数字に基づいて、安全性を確保するという観点から必要あれば拡大することもあるし、逆に必要なくなれば縮小するということ。あくまでも今後の状況推移をしっかりモニタリングしながらやっていく。

 ――自主避難というが、そのままとどまっている人への生活支援もきっちりするか。

 現時点では、その両面をしっかりやっていかねばならない。全力を挙げている状況だ。

 ――30キロ圏外でもモニタリングで計測して高い数値が出ているところもある。距離にかかわらず退避を考える検討はされているか。

 この退避の範囲は、まさに原発の状況、そこから予想される、例えば放射性物質がどこにどう行くのかという予測、そして現にそれぞれの地点で得られている様々なモニタリングの数字、こういったものを原子力安全委を中心にして専門家のみなさんに分析・判断を頂いたうえで、退避の指示を出している。これについては、より詳細な状況が把握されれば、その詳細な状況に基づき、単純に同心円で距離で線をひくのか、それとも例えば天候や地形などによってどういう地域にどういう可能性があるのかということがより詳細に分析できれば、そういったことに基づいて判断するということも可能性としてはありうる。

 ――現時点では30キロ圏内で十分か。

 現時点ではそういう、これは原子力安全委からの報告というか、専門家の判断も踏まえて、現在は20キロまでの退避と20キロ〜30キロまでについては安全性の観点から屋内退避と。ただ、社会的な問題として順次自主的な避難をされることについては、バックアップするという状況だ。

 【電力対策】

 ――電力需給対策本部。与謝野大臣から一般家庭の電力値上げの話が出たと思うが、4月とりまとめに値上げも入るのか。

 今日の時点では、一つの意見として承った。ただ、これはこれからいろんな知恵を使って、生かして、1千万キロワットをこえるような需要の調整を行い、なおかつできるだけ国民生活あるいは日本の経済産業に影響を及ぼさない、計画停電に寄らない方法をこれからあらゆる知恵を動員して検討模索していく状況なので、現時点でできあがりに姿がどういうことになるかについては、全く予断をもっていないという状況だ。

 ――値上げについての可能性は。

 それについてはまだ。まずは原発の状況を何とか収束に向かわせるという最大限の努力をはらっている状況で、その後の東京電力のあり方にかかわるような問題は、この原子力発電所をこれ以上悪化させることなく、収束の方向に向かわせたうえで初めて検討すべきこと。

 【退避問題その4】

 ――20キロ〜30キロ圏内の自主避難が進むと、屋内退避の地域が散在し、物資供給がスムーズにいかないのでは。

 まさに地元の地域の現実の状況と見合いながら、どういうふうに当該地域の皆さんに現実の生活をしっかりと成り立たせられるようなサポートができるのかということについては、まさに状況をみながら時々判断していくということだと思っている。

 ――いずれ、30キロ圏内の人は全面的に出てくれということもあり得るのか。

 あらゆる選択肢、否定はしない。とにかく今の段階では屋内退避していただければ、原子力発電所との関係では十分だと思っているが、一方で生活物資がコンスタントに届けられなければ生活成り立たないという状況というなかで、実際に生活をしっかりと成り立たせていただくためにどうしたらいいのかについては日々、状況を見ながらあらゆる可能性は否定せずに検討しているという状況だ。

 【放射性物質測定】

 ――岡山県の発表によると大気中から微量の放射性ヨウ素が検出。西日本で放射性物質が確認されたが、福島原発事故との関連性は。

 まさにそれは専門家の皆さんに分析をしていただかなければならないが、一般的に言って可能性は否定できないだろうと思う。まさに専門的の皆さんに気象状況や、こういったものがどの程度広がるのかについては専門的に分析をしていただく必要がある。

 【電力対策その2】

 ――電力需給の会議で、枝野さんは生活様式に踏み込んだ抜本的対策が必要と言ったが、具体的アイデアは。

 現時点で何か予断をもって受け止められるといけないなあと思っているが、従来、例えば、就業時間を時差をつけることで電力ピークの時点をずらすことができることは一般的にも言われている。あるいは、それぞれの一日のなかのライフサイクル、時間の使い方についていろいろ工夫をしていただけば、特に夏の夕方のピーク時の冷房消費については一定の効果を出せないだろうかと。まさに生活のあり方について、ライフスタイルについて、いろいろとお願いをすることが十分あり得るだろうということ。

 ――フレックス導入を企業に働きかけることや、サマータイム導入は。

 それによる効果がどの程度期待できるのか。逆にそのことによるコストがどのくらいかかるのか。それから、例えば強制的に制度としてできる部分と、民間の利用者などにご協力いただかなければならない部分については、どの程度ご協力が得られるのか。こういったことをこれから精力的に検討、調整していくということ。何かを導入するということを現時点で予断をもっているわけではない。あらゆることについて最も効果的なやり方を模索する。

 ――電力需給の抜本的解決策はいつまでにまとめるのか。

 十分な準備、周知の時間が必要だということを踏まえて4月中をめどに何らかの一つのとりまとめはしたい。

 ――生活に踏み込んだものということか。

 当然そういったところに影響、大きければ大きいほど、早い段階から、こういう方向でということをお示しする必要があるんじゃないか。

 【退避問題その5】

 ――退避の範囲が広がることもあると思うが、退避の際の移動手段の準備はどの程度進んでいるのか。

 いま20キロ〜30キロの屋内退避の皆さんが自主的に退避されたいという希望もかなり多いというなかで、こうした皆さんの移動や受け入れ先について、全力を挙げて対応を政府としてもしているという状況。それ以上のことについては、現時点では私の立場からあらゆる可能性を否定できる立場ではないので、あらゆる可能性を否定しないということを申し上げているのであって、具体的にそれに対する準備という段階ではないと思っている。

 【農作物その2】

 ――農作物。補償範囲は風評被害を含める考えは。

 現時点で政府として責任をしっかりともつべきだということで、政府からの指示で出荷制限、摂取制限、これは政府の責任で指示を出しているので、当然それについては東京電力とともにしっかりと補償について責任をもたなければならないと思っている。それが現時点で政府として確定している方針。

 ――今後、補償対象を風評被害に広げる考えは。

 現時点で確定しているのはいま申し上げたことで、それ以外のことについて何か予断をもって申し上げる段階ではない。

 【情報収集衛星】

 ――今回、情報収集衛星をどう運用したのか。収集した情報をどう利用したのか。

 情報収集衛星の具体的な運用についてはまさに国家機密の範囲だと私は思う。利用できるものがあれば十分利用させていただいているということが申し上げられるギリギリかなと思っている。

 【マニフェスト見直し】

 ――震災対応の財源のため、民主党マニフェストの見直しについて。

 この震災に対してしっかりと被災をされた皆さんを支援し、これを復旧・復興していくことはまさに国を挙げて最優先に取り組まなければならない課題だと思っている。それに向けて政府としてあらゆることを優先させて、そのための取り組みを進めていくという立場なので、それが最優先であるという前提のなかであらゆることが今後検討されていくと思っている。

 【税と社会保障の一体改革、TPP】

 ――菅政権として6月をメドに検討するとしていた。震災の影響でどうなるのか。

 それぞれ我が国の高齢化や少子化は震災によって影響を受けるものではなく進んでいっているし、世界の包括的な自由貿易の進行は我が国の事情を待ってくれずに進んでいくものだ。そうした意味では事務的、実務的な社会保障については検討、TPPなどについては情報収集。これはこの間も可能な範囲で進めていっていただいている。

 それについて政治的な判断をどうするのかということについては、まず震災対応、それから原子力対応にいま全力をあげて進めている状況だし、また、こうした状況が全体としてどういう状況になっていくか、被害の全体像とか、原子力発電所がどういう形で収束していくのかという状況を見ながら、当然その時点でそうしたことの影響を考慮して検討することになると思っている。

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