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枝野官房長官の会見全文〈28日午前11時〉

2011年3月28日13時59分

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 枝野幸男官房長官の28日午前11時すぎからの記者会見の内容は次の通り。

 【冒頭】

 「福島第1原発の20キロ圏内、避難地域におられるみなさんには大変なご迷惑とご不便をおかけしている。昨日、こうした地域にお住まいのみなさん、避難されているみなさんから、一時的にでも自宅に帰って荷物を取り出したいという要望が高いということで、それについての模索・検討を始めたと申し上げたが、現地から、その検討を待たずに現実に当該地域に立ち入っている人が見られるという報告があった」

 「原子力災害の現地対策本部において、改めて当該地域のみなさんに汚染されている可能性が高く、立ち入りが現時点においては大きなリスクがあると考えているので、特に指示がない限りは当該地域には決して立ち入らないで頂きたいと改めて徹底することで報告があった。私からも、メディアを通じてこの点について報道をよろしくお願いしたい」

 「なお、現地では様々なモニタリングの結果を踏まえ、できるだけ避難されているみなさんのご希望・ご要望に応えることができないか、安全性の確保を前提としながら、そういった努力・模索は進めているので、ぜひそれを待った上で安全が確認された状況で、あるいは現に今自衛隊・警察のみなさんにはさまざまな仕事でこの地域内に入って頂いているが、その際には防護服の着用とかセンサーを持つとか、こういった安全性に配慮した様々な手配をした上で入っている。そうしたこと含めて、いま何とかご要望にお応えできないかの模索を進めているので、ぜひ現時点の立ち入りについては、安全性のため慎んでいただくようお願いしたい」

 【放射線量の計測間違い】

 ――昨日、2号機のたまり水の放射線量の計測間違いがあった。訂正につぐ訂正をどうみるか。

 「今朝も東電から説明に来られた。現地で作業をされているみなさんも、相当疲労がたまっている状況かなというふうに一方では思うが、まさにこうした放射線の測定は様々な安全確保のための大前提になるもの。こうした間違いは決して許されるものではないと思う。そのことを申し伝えるとともに、要員のバックアップのことも含めて、こうしたことが繰り返されないよう申し上げたところだ」

 【避難区域の一時帰宅】

 ――一時帰宅の見通しはあるのか。

 「20キロ圏内を含めて、様々なモニタリングをしている。そうしたことのなかで、放射線量などの数値から、一定時間であれば入っても安全であるということを、かなり緻密(ちみつ)に詳細に分析すれば、場合によっては部分的に可能ではないかということも考えられる。そうしたことを今確認できていない状況なので、リスクがあるということを言っている。現状が安定している、今のところは大気中の放射線については安定しているという報告なので、そうした前提のなかで時間を区切るとか、あるいは地域、風向きなどによる地域によってとか、そういったことも今かなり詳細な分析と検討をして頂いている。それによっては可能性があると考えている」

 【水漏れの原因】

 ――東電の会見では圧力容器損傷の可能性もあるとしている。容器の健全性は保たれているのか、穴があいているなら水の注入は逆効果ではないか。

 「今、おそらく同じ時刻に原子力安全委がこの件についての見解をとりまとめる委員会を開いて頂いていると聞いている。とりまとめようとしている案はあらかじめ報告を受けている。2号機の地下、タービン建屋の地下にたまっていた水の放射線濃度、これが大変高いことなどを踏まえると、2号機については一時溶融した燃料と接触した格納容器内の水が何らかの経路で直接流出したものと推定される、という分析を受けている」

 「なお、他の号機の水は、格納容器から水蒸気として出たものが凝縮したものか、放水により希釈されたものと推定をする、という風な報告を受けている。現時点では、空間線量が高いのは建屋内だけでとどまり、屋外では異常な数値は計測されていない。この状況をしっかり認識しないとならない。同時に、2号機への炉心への注水は屋外から実施しているので、今後もより安定的な形で継続できる。従って、水の漏洩(ろうえい)が継続するとしても、炉心に注水して、冷却するという冷却方法は継続可能であろうという分析をして頂いている」

 「ただし、この地下の空間線量が高いことを踏まえると、この水の処理をすみやかに実施することが必要であろうと。もう一つは、この水が地下や海中へ漏洩をさせないように万全を期すること。そして、漏洩していないという安全の確認のためにも、サンプリングの実施、あるいは海水については一部高い濃度が出ているが、サンプリングを安全確認のために強化する。こういうことが今、原子力安全委で原案としてとりまとめを行っている。そうした意味では、今回溶融した燃料と接触した水が直接出ていることは、大変残念な事態ではあるが、これによる健康被害などの拡大を防ぐ、なおかつそうした中で全体を収束させるための努力をさらに進めていく、こういう状態だと思っている」

 【2号機の燃料溶融】

 ――燃料の溶融は一時的なもので止まっているのか、続いているのか。

 「これは原子力安全委員会の見解がまとまったら、おそらく記者発表されると思うので、専門的におたずねをいただければと思うが、私のところに報告されている原案では、一時溶融した燃料と接触した水だということできているので、継続的に溶融しているということではないのではないだろうか、と文書からは認識しているが、これは専門家の皆さんに直接おたずねいただきたい」

 【菅首相の原発視察】

 ――一部報道で、菅総理が福島第一原発を視察した際、原発の格納容器の空気を外に出す作業に支障をきたして、全体的なオペレーションが遅れたとの指摘がある。

 「当該報道は私も承知しているが、前提となる事実がちょっと違うのではないかなと認識している。当該報道にもある通り、地震の発生した3月11日の22時に原子力安全・保安院のプラント班で2号機について今後炉心が露出して、燃料が溶けて、従ってベントの必要があるという予測をつくられて、22時44分、官邸の危機管理センターにおいて共有されている。これについては危機管理センターの作成資料で従来から公表している。これは2号機についての保安院としての見通しを示したものだが、その後、最初に問題になったのは1号機の問題で、2号機については翌12日の午前3時過ぎに東京電力から2号機の冷却装置が動いていることが確認されたという報告があった。結果的に14日、翌々日の13時25分、東京電力からこの冷却機能が喪失したとの報告があり、それを受けて15日の午前0時にベント、空気を抜く作業が行われた。2号機はこういう流れになっていて、先にベントがなされたのは報道されている保安院の報告のあった2号機ではなくて、1号機の方だった。そこのところがまず大前提としてある」

 「そして、1号機、2号機を通じて、原子力発電所が停止して冷却の機能がなかなかうまくいっていないということから、地震発生の翌日の未明、1時30分には東京電力と原子力安全委員会の班目委員長からの説明に基づいて、総理と海江田経済産業大臣の了解のもとにベントを急ぐようにとの指示を出している。そして、午前3時5分には海江田大臣と東京電力の小森常務がベントを行う、これについてはその直前に2号機の状況が入っていたので、1号機を優先してベントを行うと。私の方からも同時に午前3時12分、私の会見でベントを行うことについて話した。そして、この間現場においては特に1号機を優先してベントの作業を進めるようにと、むしろ海江田大臣からの強い指示で、私もその場におりましたが、東京電力の方の官邸に来ていた連絡員を通じて現地に対しても繰り返し早くベントを行うようにとの指示を繰り返していた」

 「結果的に、これは事後的な検証が将来必要かなとは思っているが、結果的に現場の作業が最終的に9時4分になるまで始まらなかった。この間、私もよく記憶しているが、3時にベントするということを発表した時点では、同時刻ぐらいにはベントが始まるものと想定していたが、総理が出発する朝の6時台になっても始まっていないということで、繰り返し早くやらないといけないじゃないか、どうして進んでいないのか、ということをその間繰り返し東京電力に対して求めてきていた。そういった意味では報道の趣旨は部分的にちょっと違っているかなと受け止めている」

 ――12日の3時に冷却装置が動いていると報告受けた時点で、ベントをやる可能性があるなかで(視察に)行ったのか、ベントをやる可能性がないから行ったのか。

 「ベントをやる前提だった。場合によっては、行く前にはベントがもう進んでいることが、むしろ、総理が福島第一原発に行くことを決めたのは午前2時半ごろだが、ベントをすべきではないかということを総理や海江田大臣はおっしゃっておりまして、東京電力に対してもその必要性はないのか、やるのか急ぐべきではないか、という話をしていた段階なので、ベントがあることを前提として行われている」

 ――あったとしても安全性は問題ないという判断で行くという判断をしたのか。

 「当然です。実際に東京電力の職員の皆さんは周辺におられてベントを行うわけだし、場合によっては、いろんなやり方でベントをするということだったようだが、作業員の皆さんに近づいていただいて作業をしなければいけない可能性もあるとの報告を受けていたが、このまま圧力が上がり続けることは大変大きな危険につながるという認識をもって、そのことを東京電力に対して強くこの間、求め続けていたということだ」

 ――午前3時から9時までの間、ベントが行われなかった理由は。

 「この間、それ以前でも繰り返しなぜ行われないんだということの説明を求め、早くやるべきではないかということを求め続けてきたが、少なくともその時点では十分な説明は得られなかった。ただし、これは結果的に急いでベントをすることが重要だったので、そのことを繰り返し求めていたというのが、私の立場で認識していることだ」

 【放射線量の計測間違いその2】

 ――東電がセシウムをヨウ素と誤認。元データに人為的ミスがあると、政府の判断にまで影響する。公的機関からもチェック人員を配置するなどの考えは。

 「制度的にはどういう態勢で、どうした測定を行うのかということは抜本的に考えなければならない状況だろうとは思っている。ただ、今現在進行形の問題については、実際の計測をする能力、あるいはそこに配置できる人員、これは能力のある人を配置しなければ意味がないので、そういったことを含めて検討しなければならない。一義的にはしっかりと東京電力が自ら計測するものだったが、他にも様々なモニタリングを行っているので、それぞれの機関が緊張感をもって進めていただくことをまずは徹底することかなと思っている」

 【避難区域の一時帰宅その2】

 ――屋内退避の20〜30キロの位置付けについて。この地域での自主避難を促進する一方で、安全性を確保しながら生活を支援する姿勢も示している。例えば、バスの運行について、国交省がバスの運行の了解を求めているが、自治体、運行者が安全確保の観点から難しいということで、現場でトラブルも起きている。政府の中途半端な姿勢がトラブルの原因ではないか。

 「20〜30キロの地域については、様々に、特に現場に苦労、迷惑をかけている状況は大変申し訳なく思っている。ただ、現実問題として、屋内退避で、一日中外で長時間活動するということでなければ、健康に問題がない、そういう状況であることは科学的に、専門家の皆さんの意見を踏まえた前提がある。ただ、できるだけ、屋内にいて頂いたほうが、健康のためにはリスクが小さいということの中で、安全性の観点から指示をしている。一方で、そうした状況であることを前提に、現実に当該地域から、自主的に外にすでにたくさん出ておられる方もいる。それから、病院の患者は今後の変化に備えて、早い段階から外に出て頂くことを政府もバックアップして進めていく。そうした中で、地域の皆さんの声、状況、事情も、屋内退避で外に避難をするまでの状況でないならば、できるだけ自分の家で生活をしたいという要望、これは当然できるだけ受けとめたい」

 「一方では、急いで逃げなければならないのであれば、早めに逃げておきたいという要望にもできるだけ応えたい。できるだけ両方の現場の皆さんのニーズに応えられる対応をとりたいという中で、こうした対応をしてきている。そうした中で、現実に出てきている様々なトラブルについては、経済産業省、保安院が所管官庁なので、その態勢を強化し、地域で起こっている様々な問題に国としてより迅速に対応できるよう態勢を強化するように進めている」

 【法人減税の圧縮論】

 ――昨日、民主党の岡田幹事長が復興財源に充てるために、法人減税を圧縮することに言及したが、政府としても税制の目玉である法人減税の見直しもやむを得ないとの認識をお持ちか。

 「二つの側面がある。一つには間もなく年度末を迎えるという中で、国会の中における野党の皆さんとの色々な相談、ご理解を得るべく努力することは、これは事柄の性質上を含めて、党のほうに、岡田幹事長や安住国対委員長のところで、他の野党との話を進めて頂いている。従って、これについて政府の立場から直接コメントするべきではない。政党間の話を踏まえて、提言などあれば、その段階で政府として対応を決めていくことだ」

 「中長期的な財源確保の問題は、復興財源をしっかり確保して、しっかりした復興を進めていくという大きな方向性ははっきりしているが、まずはどういった復興を目指していくのか、という被災者に希望を持って頂けるようなビジョン、方向性をまずは作り上げることが先行しなければならない。現時点で個別、具体的な財源の問題についてコメントするのは時期尚早だ」

 【東北高校】

 ――午前中に仙台の東北高校が甲子園に出た。十分な練習ができない中での試合となったが、東北高校の選手の活躍ぶりをどう見たか。

 「私自身、東北大学の出身で、系列校ではないが、仙台には長く一時住んでいたので、東北高校は昔から高校野球シーズンには応援をしていたので、大変気にはなって、長官室のテレビはつけてはいたが、ほとんどついているだけの状態だった。ただ、一瞬、人の入れ替わりの時などに見て、大変厳しい状況の中で、元気にプレーをしている瞬間を見ることができた。たまたまショートの選手が三遊間の難しい当たりをファインプレーでアウトにした瞬間のところを見ることができて、こうした被災地の皆さんから、こうした形で全国に、そして被災地に頑張っている姿を発信することをして頂いたことは、被災者の皆さんにとってはもちろんだが、私個人としても大変勇気づけられた思いで感謝している」

 【東電社長の体調不良】

 ――東京電力の清水社長が、事故発生後の16日から約1週間、体調不良で職務を離れていたそうだが、事実関係は。

 「統合本部ができてからは、統合本部に政府の意思、総理の意思等、東電のほうの状況は細野補佐官中心にしっかりと意思疎通をして、できるようになってきたのではないか。それ以外の件についても、担当の副社長であったり、担当の皆さんとそれぞれのレベルで、しっかりとコミュニケーションをとりながら進めてきており、また経営陣ということでは、勝俣会長とも総理も何度か電話で話をしていると聞いている。東京電力と政府との関係、コミュニケーションについては、特段この間、違和感なく進めてきている」

 ――社長が体調不良であったとしても、東電の最終の意思確認は誰を相手にしているのか。

 「案件ごとに最終の意思確認は異なるのは当然だし、大きな案件か小さな案件かによって、それぞれ異なっている。担当者レベルのところで事実関係とか政府として把握したり、それに対して政府としての考えをサジェスチョンしたりということもあるし、一般的には担当の副社長などとの間で大きな話についてはコミュニケーションしている。社長と連絡がとれないということは、最初東京におられなかった地震発生当日等は別として、その後そういう報告は特に受けていない」

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