2011年3月29日20時56分
野菜や水などに含まれる放射性セシウムの体への許容量を検討していた内閣府の食品安全委員会は29日、現状の暫定基準で妥当とする結論をまとめた。ただ、基準の2倍の値に緩める意見も報告書に併記し、食品安全委として明確な見解を示さず、厚生労働省に判断を委ねる形をとった。
食品安全委は前日の会合で、放射性ヨウ素についても暫定基準を維持することを決めた。セシウムと併せ、29日付で厚労省に「緊急とりまとめ」を提出する。
セシウムについては、現在の飲食物からの被曝(ひばく)許容量の暫定基準である年間5ミリシーベルトを、「かなり安全側に立ったもの」として支持した。一方、国際放射線防護委員会(ICRP)の1992年の報告書を引用し、基準値が10ミリシーベルトであっても「不適切とまでは言えない」とした。
食品安全委の結論を受けて厚労省は、セシウムの基準緩和の判断と併せ、水や牛乳、野菜など品目ごとに振り分けた基準値を定めることになる。
現在の各品目の値は、厚労省が17日に急きょ設けた、原子力安全委員会の摂取制限の指標を引用したもので、この指標は、事故初期の規制の目安として考えられている。放射性物質の飛散が長期化すれば、品目ごとの基準値について、より厳しい設定が必要になる可能性もある。