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20万匹を失った水族館「復興し、いわきのシンボルに」

2011年3月30日15時0分

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写真:魚が死んで水が抜かれた展示水槽=福島県いわき市小名浜のアクアマリンふくしま、西堀写す拡大魚が死んで水が抜かれた展示水槽=福島県いわき市小名浜のアクアマリンふくしま、西堀写す

写真:埋め立て地だった周囲の地盤が沈下し、建物が浮き上がったようにみえるアクアマリンふくしま=福島県いわき市小名浜、西堀写す拡大埋め立て地だった周囲の地盤が沈下し、建物が浮き上がったようにみえるアクアマリンふくしま=福島県いわき市小名浜、西堀写す

 東日本大震災の発生後、シーラカンスの生態調査で知られる福島県いわき市の水族館「アクアマリンふくしま」で750種、約20万匹の魚が死んだ。停電で水槽の水の循環や温度の維持ができなくなったためだ。一部の貴重な生物は飼育係が避難所に運び出した。

 地震のあった11日は、約200人の入館者とスタッフら50人が館内にいた。全員が3階へ避難。1階は水没したものの、けが人はなかった。

 ただ、電気とガス、水道が止まった。自家発電では全館の飼育環境を完全に保つには足りなかった。まず、ユーラシアカワウソやトド、ゴマフアザラシなどの動物、カブトガニやオオサンショウウオなどの珍しい生物を県外の水族館に移すことにした。

 16日に鴨川シーワールド(千葉県鴨川市)や上野動物園(東京都)、新江ノ島水族館(神奈川県藤沢市)などに移動。シーラカンスに似た「古代魚」のオーストラリアハイギョは、自らも被災した男性飼育係が水槽に入れて運び出し、避難所の中学校にいながら世話を続けている。

 震災7日目の17日。自家発電機を回していた重油もなくなった。震災後、極度の食料やガソリンの不足に見舞われていたいわき市。「重油は病院などの施設でも使われている。こちらに回せ、とは言えなかった」。アクアマリンの担当者はそう話した。

 電気不足でそれぞれの魚が生きるのに適した水温を維持できず、水中への酸素の供給もできない状態になった。数人の飼育係が毎日通って様子を見に来たが、次々と魚が死んでいった。水質を守るため、飼育係たちは死んだ魚を1匹ずつすくって水槽から出した。涙を流しながら作業する飼育係もいたという。

 同館では魚が育つ環境づくりのため、10年かけて生息に必要なマングローブなどの植物類も水槽内で育ててきた。いま、飼育係らは植物類は残そうと、何度もバケツで水を運んで世話している。

 久保木光治・副館長は「魚類の多くは福島沖など近海で再び採取できる。原発事故と停電さえ終われば本格的な再興に乗り出し、いわき復興のシンボル的存在になりたい」と話している。(西堀岳路、大平要)

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