現在位置:
  1. asahi.com
  2. ニュース
  3. 特集
  4. 東日本大震災
  5. 記事

放射能の大半、なお原子炉内に 漏出は1割以下か

2011年4月9日15時0分

印刷印刷用画面を開く

Check

このエントリーをはてなブックマークに追加 Yahoo!ブックマークに登録 このエントリをdel.icio.usに登録 このエントリをlivedoorクリップに登録 このエントリをBuzzurlに登録

図:福島第一原発1〜3号機の放射性ヨウ素の量拡大福島第一原発1〜3号機の放射性ヨウ素の量

 東京電力福島第一原発の1〜3号機の建屋外へこれまでに漏れた放射能の量は、原子炉内にあった総量の1割に満たない可能性が高い。格納容器が壊れて内部に残る放射能が放出されると、さらに広範囲で汚染が深刻になる恐れがある。専門家は、炉心に冷却水を循環させる継続冷却システムの確立を最優先にすべきだと訴えている。

 原発の炉心には、核分裂反応に伴って生まれた膨大な量の放射能が存在する。米原子力規制委員会(NRC)の標準的な試算方法に1〜3号機のデータを当てはめて朝日新聞が算出したところ、1〜3号機には緊急停止した時点で、放射性ヨウ素が各130万〜230万テラベクレル(テラは1兆倍)、放射性セシウムが13万〜22万テラベクレルあったと推定できた。放射能はこのほか、1〜4号機の使用済み燃料の中にもある。チェルノブイリ原発の事故時の炉心内蔵量は推定でヨウ素が320万テラベクレル、セシウムが28万テラベクレルだったとされる。

 外部への放出量はどうか。

 原子力安全委員会が汚染の拡散予測に使ったヨウ素の大気への推定放出量は、3月12日から24日までに3万〜11万テラベクレルだった。一方、1〜3号機の建屋外にあるたて坑と坑道にたまった汚染水に含まれる放射能の総量は、東電の公表データをもとに計算すると、ヨウ素で4万テラベクレル程度、セシウムで1万2千テラベクレル程度となった。

 建屋の外に漏れ出た放射能は、ほかに、その後の大気放出分や海への流出分などがあるが、多めに見積もっても内蔵量よりずっと少ない。外部に出にくいストロンチウムやプルトニウムなどの核種は、まだほとんど炉内にあるとみられる。

 元原子力安全委員長の松浦祥次郎さんは「内蔵量の推定はさほど外れていない。放射能の大半はまだ内部に残っている。放射能の総量はチェルノブイリの数倍にもなる。格納容器が壊れるなどして大量放出される事態は絶対に避けなければならない。冷却水を循環させる継続冷却システムの回復が最優先だ」と話す。

 危機を脱するには炉内を100度以下で安定させる「冷温停止」にする必要がある。だが、注水や放水による現在の冷却では過熱を防ぐので精いっぱい、と多くの専門家がみている。(安田朋起)

検索フォーム

おすすめリンク

原発事故直後、自衛隊にある、表に出ない部隊に東電社員救出の命が下った。秘匿の作戦だった。

1本の極秘公電には、米国が自衛隊の英雄的犠牲を必要だと迫った文言が並んでいた――。

役場ごと県外に飛び出した福島県双葉町。帰るべき場所を失うとはどういうことか。

動きのとれない障害者や高齢者を避難させるには…福祉施設、役所などの苦悩と行動を追う。

謎の死を遂げた動燃幹部が遺した大量の機密ファイルから、日本の原子力行政の「闇」を暴く。

魚の放射能汚染を調べたいのに、船も検出器も技術もない――海に生きる人々の苦悩を追う。

朝日新聞購読のご案内
新聞購読のご案内事業・サービス紹介

東日本大震災アーカイブ

グーグルアースで見る被災者の証言

個人としての思いと、かつてない規模の震災被害、その両方を同時に伝えます(無料でご覧いただけます)

プロメテウスの罠

明かされなかった福島原発事故の真実

福島第一原発の破綻を背景に、政府、官僚、東京電力、そして住民それぞれに迫った、記者たちの真実のリポート

検索

亡くなられた方々

| 記事一覧