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枝野官房長官の会見全文〈12日午後4時過ぎ〉

2011年5月12日20時38分

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 枝野幸男官房長官の12日午後4時過ぎの記者会見の内容は次の通り。

 【家畜の殺処分】

 「東京電力福島原発の20キロ圏内の家畜について、大変残念だが、本日、原子力災害特別措置法第20条3項の規定に基づき、20キロ圏内の警戒区域の家畜について原子力災害対策本部長から福島県知事に対し、当該家畜の所有者の同意を得て、家畜に苦痛を与えない方法によって処分をするよう、いわゆる安楽死させるよう指示することにした」

 【日中韓サミットの情報発信】

 「5月21、22日に開催予定の日中韓サミットに際し、関連情報を英語、中国語、ハングルで迅速に発信することを目的に、政府と日中韓3カ国の報道関係各社が連携協力し、プレスプール情報サービスを提供することとした。政府発表の公式文書などは、日本語での情報提供もあわせて行われる。今回のサービスには日本から共同通信、中国から新華社通信、韓国から聯合ニュース3社がインターネット上に合同のニュースサイトを開設し、日中韓サミット関連の文書や3社が取材した画像情報を複数言語で発信する予定。他メディアによる本件サイトへのアクセスや引用も可能となるよう設定される。

 日中韓サミットという機会に、複数言語による迅速な情報発信のために日中韓3カ国のプレス間で協力関係を築けたことを歓迎する。今回の情報サービスも活用しつつ、政府として引き続き対外的な情報発信に力を入れて参りたい」

 【生活再建・事業再建ハンドブック】

 「先日成立した補正予算について、被災者の生活再建や事業主の事業再建に役立つ情報をわかりやすく解説した生活再建・事業再建ハンドブックを本日作成した。片方から見ると事業主、片方から見ると個人の皆さんという形になっている。

 10万部を用意し、岩手、宮城、福島各県の避難所、自治体、協力頂いているコンビニやスーパーに16日以降順次配布していく。これらの県以外の都道府県に避難されている方々にもお届けできるよう準備を進めている。被災された皆さんの一日も早い生活再建、事業再建、安心のためにお役に立てることを願っている」

 【家畜の殺処分】

 ――家畜処分の補償は。

 「既に審議会の方の指針でも、こうした地域で国の指示に基づいて処分された家畜については当然、賠償の対象になるということになっていると理解している。これまで飼育をされてきた皆さんにとっては金銭的な部分がそうした形で賠償されるとしても大変おつらいものと、そういった点では大変申し訳なく思っているが、速やかに東京電力において賠償を実施されるよう期待する」

 ――なぜこのタイミングか。政府として対象者にどう理解求めるか。

 「何とか育て続けたいという思いの方が少なからずいらっしゃるという風に承知している。その皆さんには大変心苦しい対応だと思っているが、警戒区域の設定をしたことで、こうした家畜に引き続き餌などを与え続けるということはできない状況の中にある。一方では、衰弱して餓死をしていくという状況を放置するということも大切に手塩にかけて飼育されてきた皆さんにとっても大変おつらいところだろうと思っている。

 そうした中で、どちらも大変厳しい、つらいことを強いるものだが、警戒区域を設定し、お入りにならないで頂きたいとお願いしている立場からは餌などを与え続けることができないという状況の中では、相対的な評価として安楽死という形を取らざるを得ない。であるならば、どちらにしてもつらい皆さんの状況を考えると、責任を持って国として指示をさせて頂くということが、つらいことをお願いするが、つらいことの中での選択を当事者の皆さんに強いるということよりも、批判は多々あろうかと思うが、国の責任でしっかりと方針を出すということに至った」

 ――処分期間はどれぐらいが念頭か。

 「方針をこういった形で示させて頂いた。今後の具体的なことについては、基本的には申し上げた通り、所有者の同意を得てということなので、国としてこういう方針だということを所有者の方に丁寧に理解を頂きながら進めていく」

 ――対象になる家畜数は。

 「千頭単位ぐらいのレベルだと聞いているが、詳細は農水省へお尋ね頂ければと思う」

 【東電の賠償枠組み】

 ――東電の賠償枠組みの関連法案は、いつごろをめどに国会に提出するのか。

 「順調に行けば今日にも、早ければ今日にも、枠組みというかスキームは、一定の結論得たいということを期待しているが、これを実際に法律案などの形にしていくということについては、だいぶ報道も出ているが新しい機構などの組織を作らなければならない。大前提として、第三者委員会による東電の資産や経費の状況について、きちっと責任を持った形で査定を行わなければいけない。こうしたことをしっかりやろうと思うと、一定の期間、準備の期間は必要であろうと。おそらく月単位の時間が必要であろうと考えている。

 一方で、このスキームと被害者に対する賠償の支払いとは直接リンクはしない。今後、兆円単位で賠償費用が必要になることに備え、想定して、そのためのスキームをつくろうというものなので、この間、方針が出ている仮払い、あるいは今後出てくるであろう補償の方針に基づいて当座の補償を進めていくにあたっては、今回のスキームそのものが直接関係するものではない。東電による仮払いはこのスキームの立法化などにかかわらず、順次、速やかに進めて頂こうと思っている」

 ――今国会提出は難しいか。

 「今の段階で確定的に申し上げるべきではないが、少なくとも当座ということで考えても、国民の皆さんの税金に基づくお金を、返ってくるものといいながら、民間企業に渡すわけなので、その大前提となるリストラなどの状況について、しっかりと査定をせずに前に進むことは納税者との関係で許されない。

 一方で、被害者に対する賠償はこのスキームのいかんに関わらず、少なくとも当面は東電において十分なされると考えている」

 ――法案提出までの間は、野党にどう説明するか。

 「野党というよりも国民の皆さんに、東京電力が、あるいは東京電力のステークホルダーの皆さんがどういった自助努力がなされているのかという状況を政府として責任を持った把握をし、それを公開すると。そうしたことの中で、しっかりと株主や銀行を含めたステークホルダーの皆さんを含めた東電の自助努力が十分になされると国民にお伝えしていくことをもって、理解を得ていきたい」

 【校庭利用の放射線量基準】

 ――校庭の土地利用について、民主党議員が見直しを求める要請書を首相宛てに提出したが、政府の受け止めは。

 「許容量20ミリシーベルトという認識ではないということは何度も申し上げている。3・8マイクロシーベルトという所に1日8時間いて、そのすぐそばの木造住宅に残りの16時間いて、というのが365日続いた場合で、年間20ミリシーベルトに達する。それが3・8マイクロシーベルトの意味合いであると。

 校庭について、その線を超えることのないように対応するということであって、実は校庭の利用は少なくともそれを超えるところは必ず1時間以内にして下さいということになっている。実際のそれぞれの学校などについてモニタリングして頂いて、校舎の中はおおむね10分の1以下であるし、周辺のアスファルトは半分以下であるというような状況だ。さらに、こうした線量も徐々に低減している。土壌の入れ替えなどの措置を順次進めていくということの中で、20には遠く届かないような少ない年間被曝(ひばく)線量に抑えられるように努力をしているし、実際にそうなる見通しである。さらにそうした努力を重ねていくことが政府としての立場だ」

 ――身内の民主党議員から見直しを求める要請書が出てくること自体、国民に混乱を与えないか。

 「ぜひ、十分に我々も説明の努力をさらに重ねて参りたいが、今申し上げたような趣旨内容は内閣としては繰り返し申し上げてきているので、影響力の大きい皆さんにおかれてはぜひ、しっかりとその意味、内容を理解の上、その上での批判は多々あろうかと思うが、して頂きたい」

 ――要請書を持ってきた議員には誤解があるということか。

 「今申し上げた意味内容なので、年間20ミリシーベルトを許容しているということではないというのが、政府としてこの間繰り返し申し上げてきている。実際に、全くそういった数字には達することはないと考えている」

 【家畜の殺処分】

 ――家畜処分は強制力はないのか。仮に応じなかったら、補償の対象にならないのか。

 「原子力災害対策特別措置法に基づく指示は、都道府県知事、この場合、福島県知事に対する指示としてしたもので、直接的に所有者の皆さんに対して指示をする権限に基づいているものではない。補償の有無というのは、原子力災害との相当因果関係の有無で損害額が算定される。20キロ圏内の家畜については、基本的には財産的な価値が原発事故によって失われたものとして損害の査定がされて賠償がされるということになるのは影響はしない」

 【原発事故の国の責任】

 ――原発事故について首相は国の責任も強調してきたが、国としてどう責任を取る考えか。

 「今日の午前中での会見でも少し申し上げたが、この原発事故に対する責任としては、一つは生じてしまった損害に対する賠償。これは賠償法に基づいて東電が負うことになっている。事業者が負うことになっている。

 一方、政府もこれまで何十年にわたって原子力発電を推進してきた。監督官庁として事故を結果的に防げなかったということについての社会的な責任は間違いなくある。同時に、政府のそうしたことを離れた責任としても、こうした事故に対する被害をいかに拡大しないか、最小化させるかという重たい責任を持っている。

 そうしたことの中で、この間もそうだし、これから特に被害そのものをできるだけ極小化させるために様々な施策を実施していかなければいけない。それこそ学校の校庭の土をどうするのかなどという問題も先ほど申し上げた通り、今の校庭の状況であれば、健康被害もたらす可能性はないと考えているが、少なくとも精神的なプレッシャーを少しでも小さくするためには、万が一のことを防ぐためには、土壌改良について進めていくと。これについて基本的には国の費用で進めていくべきだ。結果的にそれによって損害が小さくなれば、東電の負担が相対的に小さくなる関係にある。

 それぞれ事業者としての責任が賠償という形で、発生した被害に対する賠償という形で、政府の責任は、その被害そのものを極小化するための責任を果たしていくという形でまずは進めていく。最終的には、理屈を言えば、東電と政府との負担割合ということの話にはなりうるが、遠い将来のことだ。当面は、政府として被害の拡大をいかに小さくするかということについて最大限の経費を含めて、責任を果たしていくということだ」

 ――損害賠償そのもので国が責任をとることはあるのか。

 「少なくとも原子力損害賠償法のスキームでは、これは事業者が責任を負うと法律で決まっている。ただし書きに該当しなければ。この法律に基づいて、過失の有無にかかわらず事業者がまず負担をすると、これは法律に基づいてそういう仕組みになっている。だからといって国が責任を負わないということではなく、まずは損害額そのものが小さくなるように、つまり被害を小さくすることについては、国が徹底して責任を果たしていくということになるし、万が一にも東電による支払いがなされなかったり、遅れたりすることのないように、政府として責任を負うことになる」

 【電気料金への転嫁】

 ――午前の会見で電気料金の負担がないようにしたいというが、国民負担が発生する可能性はあるのか。

 「午前中も言ったが、率直に言って被害額がトータルでいくらになるのかはなかなか見通しが立てられない状況だ。今、一般的に思われているような損害額の範囲に抑え込むことができれば、それでも巨額のお金になるが、そのために国としても最大限の責任を果たしていくわけだが、そうした範囲におさまるのなら、いわゆる電気料金とか税金とかが直接使われることなく、東電とステークホルダーの自助努力の範囲の中で、賠償額に相当する額を出すことができるだろうと、私は思っている」

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