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枝野官房長官の会見全文〈20日午後〉

2011年5月20日22時12分

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 枝野幸男官房長官の20日午後の記者会見の全文は次の通り。

 【エネルギー政策】

 ――エネルギー政策の選択を国民投票で行う考えはないか。

 「かつて国会議員の立場で、憲法以外の国政の重要事項について、国民投票で国民の意思を問う仕組みをつくるべきだと提案した。残念ながらその時に実現はしていない。今、行政府の立場からはそうした仕組みをつくるのかどうかということを含めて、立法府で決定する事項だと思っている。ただ、原発については国民の関心も高く、特に今回の事故を踏まえてさらに多くの皆さんが強い関心を持っているテーマだろう。行政府にいる立場としては国民の意思、声というものが奈辺にあるかということを、十分に踏まえた上で進めていく必要があると考えている」

 【東京電力・原発事故】

 ――東電が決算を発表した。リストラ策などをどう評価しているか。

 「決算や経営合理化の具体的な中身については、これから詳細を把握させて頂こうと思っているが、いずれにしても迅速な賠償を実施し、かつ原発の状態を安定化させ、電力の安定供給を維持するということのために最大限の経営合理化を進めてもらいたい。本日発表された合理化策などの内容が十分なものであるのかどうかということについては、今後政府が設ける第三者委員会で専門的に厳しく調査してまいりたい」

 ――被災者の理解が得られる内容だと考えるか。

 「これが入り口なのか、これですべてなのか、その辺の位置づけが十分承知していない。私はスタートと、入り口という位置づけということであるならば一定の理解ができる。これを入り口にしてさらに精査努力をして頂く必要があるのではないかと思っている」

 ――福島第一原発1〜3号機がメルトダウンしていたことが分かったが、地震直後、どの程度情報を把握していたのか。原子力安全・保安院の中村審議官が「炉心は溶けている可能性ある」と発言し、それ以降表に出なくなったが、この更迭に政権中枢は関与したのか。

 「まずその中村さんについては、少なくとも私や副長官や総理などは一切、どなたが中村さんなのか、顔と名前が一致しないし、全く、どの時点までどういうことをされていて、今どうされているのか、承知していない。それから、政府として把握していた情報についてはその都度発表もしたし、その都度聞かれた質問に対し、その時点で知りうることはすべて話してきた。溶融している可能性があるということは、私自身この場所でも早い段階で申し上げたことがある。ただ、残念ながら炉内部の状況を外から把握できる状況ではなく、その時点で報告されていた様々な状況の中から今回、推測された状況ほどは溶けていない可能性が高いという報告を受けていた。ただ、周辺住民の避難、退避にあたっては炉内部の状況がどうなっているかということ以上に、周辺における放射線量が健康に被害を与えるものであり、これに基づいて炉内部の状況について推測しかできない状況なので、考え得る最悪の状況を想定して避難指示を出してきた」

 ――楽観的なシナリオに基づいて政策決定したのではないか。また長官は「直ちに健康に影響はない」と言ってきた。現状認識と楽観的アナウンスが多くの人を被曝(ひばく)させた懸念もあるが。

 「この間、避難指示については把握できていたデータに基づいて、常にむしろ万全すぎるぐらいの早い段階からの避難指示をお願いしてきた。地表に降っている放射性物質のために、長期にわたっての影響についても、計画的避難区域という形で対応してきた。そうした意味では、放出された放射性物質、それによる放射線の影響については避難が遅れるような対応にはならなかった。少なくとも今得られているデータからは判断している。それから、私が時々、直ちにという表現を使ったことは、指摘頂いた意味ではないか、誤解も生じているようだが、私が、直ちにという表現を使っていたのは、原発の状況が流動的であった。つまり、さらに状況が悪化する可能性が高い、十分にある状況で、従って、原発の状況が現状であるならば、直ちには影響するものではないと。ただし、もしかすると原発の状況がさらに悪化するということになれば、その時点で想定していた避難地域では十分ではなくなってさらなる避難をお願いする可能性があるという意味で、その時点での原発の状況においてはという意味で、直ちにという表現を使ったものであり、すぐに影響が出ることはないけれども、将来的に影響が起こる可能性ということを意味して、直ちにという表現を使ったことはない」

 【診療報酬改定】

 ――日本医師会が厚労省に診療報酬改定を延期するよう要請したが、現時点での考えは。

 「厚労省限りで判断頂ける話ではなくて、社会保障と税の一体改革にも関連し、あえて申し上げれば政府全体にかかわる問題だが、まだ厚労省から要請、要望を踏まえた相談が上がってきている状況でない。そういったものがあれば慎重に検討したい」

 【東電社長人事】

 ――東電の次期社長が内部から選ばれたことについての受け止めと、事前に相談があったかどうか。

 「まず新しい社長人事については、現時点では国が出資している状況ではないので、一義的には民間企業として独自に判断されることだ。それから社長交代については、今日の午前中の会見の後、経産省を通じて、その後、直接私にも電話があって、清水社長から『辞任をする』ということの報告だけあった」

 ――その電話の際に長官から何を言ったのか。

 「連絡があったのは『自分が退任をするつもりである』という連絡があったので、『退任されて、どういう立場になっても清水社長も政府側では総理、経産大臣、私も含めて、今回被害にあわれた皆さんに対する社会的な責任をしっかり果たしていかなければならない。どういう立場になってもそういう立場だと思うのでそこはしっかりやってほしい』と申し上げ、『それはよく分かっております』という答えを頂いた」

 ――長官の債権放棄をめぐる発言で、東電は普通の民間企業ではないと言っているが、いずれ支援する場合にあたっては社長交代を判断することもあるか。

 「支援のやり方、支援に先立つ様々な民間企業としての努力ということを踏まえて株主として株主権を行使するということが将来的にある可能性は否定しない」

 【日中韓サミット】

 ――明日から日中韓サミットが始まるが、政府として何を期待するか。

 「震災以降、韓国、中国からもお見舞い、支援を頂いた。中国、韓国から日本に来られている方も今回の震災によって亡くなられ、犠牲になられた方も、少なからずいる。原発事故に伴う汚染水の問題では近隣諸国ということで心配もかけた。そうしたことも含めてこの間の支援、協力について日本としてしっかりと感謝の気持ちを伝える必要がある。その上で日本がこの震災から立ち直るという意思を近隣の国際社会に伝える。それから、原発については心配をかけているが、今後とも情報の透明化に努力し、近隣諸国にも影響与えることのないよう収束に向けた最大限の努力をするということについて、総理から直接両国首脳に伝えることが重要だ。その上で3カ国の間にはそれぞれバイでは様々な課題があるが、そうした課題を乗り越えて、3カ国のきずなを深める機会になればいいだろう」

 ――韓国の国会議員による北方領土訪問の確認状況は。

 「事実関係の確認については引き続き努力をしている。また、二国間での様々なやり取りについては相手もあるので現時点で具体的に報告する段階ではない」

 ――長官は今日韓国大使と会ったが、その際に北方領土視察計画について確認したか。

 「本日大使は退任されるということでごあいさつにこられた。3年余りのご尽力に対して敬意と感謝を申し上げた。それに加えていくつかのやり取りがあったが、現在進行形の事態でもあるので現時点で報告することは避けた方がいい」

 ――報告できないということか。

 「退任のごあいさつがあって、私から敬意と感謝を申し上げた以外のことについてはコメントを差し控えたい」

 【東京電力の賠償枠組み】

 ――東電に対する株主権の行使は、経営合理化や債権放棄の交渉にも関与するか。

 「前提としては株主権を行使するとかしないとか以前に、現在の東電が自らの責任と判断と努力によって国民的な理解を得られるような経営を進められる。そのことが一番望ましいことだ。ただ、そうしたことが十分に国民的理解を得られない場合には、様々な選択肢があり得ると考えている」

 【茶葉からの放射性物質検出】

 ――各地でお茶の葉っぱから基準を超える放射性物質が検出されている。規制をめぐって厚労省と農水省で見解が違い、長官裁定になっていると聞くが、現状どういう判断になっているか。

 「政治的判断であれば、私の立場で一定の政治判断をして、両省それに応じて行動して頂くことがあろうかと思うが、科学的安全性の問題だ。このことについて、厚労省や農水省がこの間、検討してきて頂いた状況については報告を受けているが、それに基づいてしっかりと科学的な安全性というものをどういう形であれば担保できるのかというようなことの詰めをしている」

 【金正恩氏の訪中説】

 ――北朝鮮の金正恩氏が訪中したが、政府としての把握状況と訪中の狙いをどう見るか。

 「報道については承知しているが、詳細について述べることは差し控えたいと現時点では思うが、関係国と緊密に連携しつつ、各種の情報の収集と分析を鋭意行っている」

 【首相の原発視察】

 ――3月12日の総理視察はだれの意思で行われたのか。総理の視察が決まった経過と時間は。

 「総理ご自身が行かれるということだから、総理ご自身の意思があったということだ。決まった時刻はきちっとテークノートしてあるが、正確な時間、今日は持ってきていないが、12日の未明の時点だったと記憶している」

 ――12日1時過ぎにFAXがもたらされた後か。

 「詳細な正確な時刻は確認をすれば分かるが、いずれにしても繰り返し申し上げるが、官邸の危機管理センターに詰めていた原子力安全・保安院の次長にも今日の午前中の会見の後、確認したが、当該資料を用いて官邸内で説明を行ったことはない。当該資料の存在も記憶にないと。それから、保安院長においても当該資料の存在を認識していないということだった。危機管理監にも確認したが、危機管理センター内での緊急参集チームの協議の場で当該資料が共有された認識はないと。これについては、私も緊急参集チームのテーブルに震災発生後、初期の2週間ぐらいは私の席があり、私が席を外している間も配られた資料は全部たまっていって、席に戻ると全部一通り見ているが、私も見ていない。従って、官邸のどなたか事務方のところ、リエゾンと言うそうだが、オペレーションルームにいる原子力安全・保安院の担当者のところに資料が送られたということのようだが、オペレーションルームという危機管理センターは幹部、危機管理監、私などのいる、保安院長や次長のいる幹部の部屋の隣に各省から大量のメンバーが来て、情報を集めて整理をするオペレーションルームがあるが、オペレーションルームでこの情報が止まっていたということであるというのが、現時点まで調査をした結果だ」

 ――情報が止まっていた理由は。

 「いま、どういう理由で、ということについて調べてもらっているところだが、少なくとも結果的に重要な情報ではないと判断をしたとしか考えられないと思っている」

 ――そのFAXはどこから送られてきたのか。

 「原子力安全・保安院から官邸オペレーションルームの原子力安全・保安院リエゾンに送付をされたと聞いている」

 ――ベントを行った場合の放出量の試算だと思うが、どういう理由で試算を行ったのか。原子力安全委員会のHPで公開されていない理由は。

 「公開されていないんだとしたら、私はすべて試算をしたものは全部出せという指示を出しているので、それは指示に従っていないということなので出すように改めて指示をする。そもそもが、読売新聞さんは数日後にいろんなシミュレーションしていることを把握をしたと報道されていたが、それを把握したのは4月下旬だ。数日後にSPEEDIが試算ができるはずだという情報があったので、それについて聞いたところ、その段階でも、つまり震災の数日後の段階でも、私や福山副長官に対しては、そもそも元になるデータがないので試算、シミュレーションはしていないというのが報告だった。従って、私から、それは文系の私でも分かるけれども、周辺の実測されている放射線量等から逆算すればできるんじゃないですか、そんな大がかりなコンピューターなら、ということを申し上げたら、ようやくそういったことを行って、それに基づく結果ですというのが、その数日後に出てきて、公表された資料ということだ。その後、他にもあるということが分かったので、直ちにすべて公開しろという指示を出した。そもそもが、シミュレーションはしていないというのが、この時点での報告で、この時点ではそこまで聞いていないが、この時点の数日後の時点での報告で、どうしてそういうことになったのか、それではSPEEDIを高い税金でもっていても意味がないわけで、これについては今後しっかりと検証していきたい」

 ――SPEEDIは一義的には文科省の所管だと思うが、こういう重要なデータというエクスキューズがあって送られたのではないかと思うが、受け取った方は重要な情報ではないと判断したのか。両者のやりとりはどうなっているのか。

 「私のところに上がっている報告は、3月12日の午前1時12分にSPEEDIのシステムの中で、これがつながっているようで、財団法人原子力安全技術センター、ここが機械そのものを運用している。そこから原子力安全・保安院の末端に試算結果が配信されたと。それを受けて1時35分ごろ、保安院からオペレーションルームのリエゾンにその資料を送付をしたという報告で、その間のやりとりについて、まだ把握ができている状況ではない。ただ、その数日後の段階で、私のところには、そもそも試算していない、シミュレーションしていないという報告で、そちらのことの方がむしろ本質的な問題ではないだろうかと思っている」

 ――長官はこのデータを見て重要度をどの程度認識したか。

 「もちろん、この資料を見たのは今回公表されて、報道されて、それで拝見したが、様々な知見をもっているので、これは当然その時点で私のところに報告があれば、その後の例えば避難指示にあたっての参考になったことは間違いないだろうと。そういった意味では重要であったというふうな判断はできる。ただ、12日の未明の段階で、その判断ができたのかどうかというのはなかなか今の段階で即断はできない」

 ――FAXが送られていて、きちんと説明がされなかった重要な資料は他にもあるのか。

 「これは恐らく、きちっと緊急参集センターの幹部の部屋に届けられていた資料だけでも、1時間テーブルを離れているとこんな分厚い量になっているので、おそらく隣のオペレーションルームに来て、緊急参集チームのところまで上がっていない資料の量は相当な膨大な数なんだろうと思っている。これは最近、緊急参集チーム、地下の危機管理センターの業務量、つまり実際のいま危機管理が続いている状況だから、当初に比べて落ち着いているとはいえ。そういったことのチェックができる余力があるのかどうか確認できていないが、いずれはそこに届いていたすべての資料について検証が行われる必要がある」

 ――きちんと資料をさばき切るだけの能力がなかった可能性はあるのか。

 「なぜこの資料が重要でない、あるいは届ける必要がないと判断したのかについては、現時点では推測だ。少なくとも、その後、こんな資料がたくさんあるんだったら、なぜ公表しなかったんだ、伝えなかったんだということについて尋ねた時の答えが、皆さんもご承知だと思うが、元になる放射性物質の放出量が前提になって、その影響をシミュレーションするための機械なのであって、それが分かっていない段階でのシミュレーションは、シミュレーションに値するものではないので、報告する必要がないと判断していたというのが、私などに対する報告であったので、そういった判断をされていたのかな、という推測はできる。そういった推測が正しかったとすれば、私はその判断は少し違うのではないかということは、その時点から関係者に対しては申し伝えている」

 ――FAXは12日未明以降も放置されていたのか、1回切りか。

 「そこまでまだ精査していない。しっかりと精査する必要があると思っている」

 ――FAXの送り手はどういう目的で官邸の危機管理センターに送ろうと思ったのか。ベントを行った場合の風向きが示されたと思うが、総理の視察を想定して、ベントをやった場合にどういう風向きの影響があるのかを調べるために作成されたとの指摘もあるが。

 「少なくとも総理が現地を訪ねることについて、こんなに早い段階で、相談はしていた可能性はあるが、保安院の現場のところまで決定事項とか検討事項ということで下りているようなタイミングではないと私の記憶ではそう思う」

 ――総理は11日の夜に何時に寝て、起きていたのか。

 「おそらく寝ていないと思うが、少なくとも公邸には帰っていない。官邸の執務室と危機管理センターの幹部のデスク、ここにはほとんど座っていなかったと思うが、危機管理センターのなかにある小部屋との行ったり来たりになるので、お休みになっていた時間は、例えばいすでうとうとすることはあったかもしれないが、お休みになっていた時間はない」

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