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農産物の風評被害、全品目を賠償対象 紛争審2次指針案

2011年5月28日4時46分

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図:風評被害が認定される地域拡大風評被害が認定される地域

 東京電力の原発事故に伴う損害賠償の範囲や目安を定める「第2次指針」の原案が27日、判明した。福島、茨城、栃木、群馬の4県の全域と千葉県の2市1町の農産物について、全品目を風評被害の賠償対象と認定する内容が盛り込まれている。政府の原子力損害賠償紛争審査会(会長=能見善久学習院大教授)が、31日の会合で決める予定だ。

 原案によると、4月までに政府から何らかの農産物の出荷制限(停止)を指示された区域は、すべての農産物を風評被害による賠償の対象とした。自治体の要請で出荷を自粛した区域も、同じように風評被害を認定する。買い控えや取引停止によって生じた営業上の損害や、労働者の減収分が、被害額となる。

 福島、茨城、栃木、群馬の4県は、ホウレンソウなどが県内全域で出荷制限を受けたため、県内の農産物すべてが風評被害を認定される。千葉県内は2市1町に限ってホウレンソウなどが出荷制限されたので、この地域のみが対象となる。

 畜産物と水産物も、農産物と同じルールを適用。福島、茨城両県の全域で、風評被害が認定される。水産物の出荷制限や出漁自粛の対象はコウナゴだけだが、すべての水産物を風評被害による賠償対象とした。

 審査会が風評被害を広く認めるのは、基準値を超える放射性物質が検出された作物が出荷制限を受けた場合、消費者が同じ地域でつくるほかの作物の汚染を心配し、買い控えるのは自然なことであり、賠償に値するとみなしたからだ。

 5月以降の風評被害は2次指針案に盛り込まれなかった。だが、原発事故は収束しておらず、風評被害を認定される地域は広がる可能性がある。5月に一部地域で茶葉の出荷を自粛した神奈川県の農産物などが議論の対象になりそうだ。

 JAグループが農家の被害を集約し、27日までに東電に賠償請求した額は約134億円。出荷制限や出荷自粛に伴う損害が中心だ。風評被害が対象に入り、放射能汚染が長期化する恐れもある中で、賠償が巨額になることが予想される。

 ホテル・旅館やレジャー施設など観光業の風評被害については、原発事故との因果関係が明らかな福島県内の観光業者に限り、解約などによる損害を賠償対象とした。福島以外の被害の可能性も「十分認められる」としたが、東日本大震災で消費者に広がった自粛ムードや交通網の寸断の影響も考えられ、まずは福島県内に限定する方針だ。

 また、2次指針には、避難生活で住民らが受けた精神的苦痛について、賠償金額の目安が示される可能性があったが、原案では見送られている。ただ、避難場所などによって住民を4分類して賠償額を算定する方針は示した。精神的苦痛の賠償は、個人単位で払うとしている。

 審査会は7月に被害全体にわたる中間指針を策定する予定。ただ、指針づくりが進む一方、東電の賠償を支援する政府の枠組みは、関連法案の国会提出のめどさえ立っていない。

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