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「奇跡の一本松」の子はノビル、タエル、イノチ、ツナグ

2011年6月28日15時8分

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写真:奇跡の一本松の子どもに名前をつけたやなせたかしさん=東京都新宿区のやなせスタジオ拡大奇跡の一本松の子どもに名前をつけたやなせたかしさん=東京都新宿区のやなせスタジオ

写真:新芽の出た長男の「ノビル」(森林総合研究所林木育種センター東北育種場提供)拡大新芽の出た長男の「ノビル」(森林総合研究所林木育種センター東北育種場提供)

 長男ノビル、次男タエル、三男イノチ、四男ツナグ――。東日本大震災の津波にのまれながら生き残った岩手県陸前高田市の「奇跡の一本松」。クローン技術で苗4本が育ち、漫画家のやなせたかしさん(92)が名前をつけた。困難を乗り越え、新しい松原の再生につながってほしい、との願いがこもっている。

 同市にあった国の名勝「高田松原」には、約2キロにわたって7万本が生えていたが津波で壊滅。残った一本が、被災者の間で「奇跡の一本松」と呼ばれるようになった。やなせさんは同市出身の編集者から話を聞き、その松を「ひょろ松さん」と名付け、「陸前高田の松の木」という歌を作詞作曲。5月末、CDに収録した。

 「陸前高田の松の木は みんないのちの友だちだ/ぼくらは生きる 負けずに生きる 生きていくんだ オーオーオー」と被災地を励ます歌で、2人の女性歌手とやなせさんがコーラスしている。

 クローン苗を育てているのは独立行政法人「森林総合研究所」の林木育種センター東北育種場(岩手県滝沢村)。海水で根が腐り始めた「一本松」の遺伝子を残そうと、4月に100本の穂木(枝の先端部)を採取して持ち帰り、育種場の台木に接ぎ木した。6月13日、そのうち4本から新芽が出ているのを確認した。

 翌日、育種センターの平野秀樹所長は、歌を作ったやなせさんのことを知った。面識のないやなせさんに「ひょろ松さんの子どもたちが育っています。ぜひ名前をつけてほしい」とメールで頼んだところ、やなせさんは快諾。約3時間後にノビル、タエル、イノチ、ツナグという4兄弟の名前をイラストとともに返信してくれた。

 4兄弟は順調に育てば3年後、「一本松」の近くに移植される予定だ。

 やなせさんは樹齢260年の一本松に自分が重なるという。「東京高等工芸学校の同級生で生きているのは僕を含めて2人。漫画家仲間も水木しげる以外、全部死んでしまった。僕の余命もわずかだと思う」。松の遺伝子を受け継ぐ子どもの誕生を「ほんとうにうれしい」と喜び、「容易な道のりではないだろうが、次世代に命をつないでいってほしい」と願っている。(伊藤景子)

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