岩手県釜石市の仮設住宅で、白血病で亡くなった子が育てたアサガオの「子孫」たちが、季節外れの花を咲かせている。
アサガオは、新潟県中条町(現胎内市)で1993年、白血病の丹後光祐(こうすけ)君(当時7)が3カ月だけ通った小学校で育てていたが、花を見ることなく亡くなった。母のまみこさん(53)がそれを引き取って増やし、「命の尊さを知ってほしい」と、「命のアサガオ」と名付けて種を全国に配っている。今回の震災では岩手県内の被災者を支援するNGO「日本リザルツ」などが仲介し、被災者らに提供された。
各地の仮設住宅で種がまかれたのは、通常より3カ月ほど遅い6〜7月だったが、住民に育てられ、今月、ネットを伝って伸びたアサガオが紫色の大輪の花を咲かせている。
118世帯が暮らす釜石市中妻町の仮設住宅では、夫や母親と住む女性(67)は「由来を聞くと希望がわく。夏場は日よけになってよかった。来年も大切に育てたい」と話していた。
種の希望などの問い合わせは日本リザルツ(03・5280・2888)、または丹後さん(0254・44・8010)。(東野真和)