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2011年10月26日3時0分
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原発事故時、ヨウ素剤服用の助言900人に届かず

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 甲状腺被曝(ひばく)を抑える安定ヨウ素剤の服用について、東京電力福島第一原発の事故後、政府が原子力安全委員会の助言を生かせていなかった疑いが出ている。安全委の基準で服用が必要な住民は少なくとも900人いたが、自治体に指示は出されていなかった。政府の事故・検証委員会も経緯を調べる見込みだ。

 現行の指針では、ヨウ素剤の服用は安全委の意見を参考に、福島県にある現地対策本部が指示することになっている。

 安全委などによると、1号機で爆発が起こった翌日の3月13日未明、安全委は、東京都内にある政府の緊急災害対策本部(原子力災害対策本部)に電話で助言。ファクスで2回ほどやりとりした。安全委の助言組織メンバーの鈴木元・国際医療福祉大クリニック院長は「体表面汚染が1万cpm(体の表面にくっついた放射性物質から1分間に出る放射線の数を測った数値)以上の住民は服用した方がいいというコメントを2、3回送った」と話す。

 13日朝、現地対策本部が自治体に出す予定の指示案を安全委にファクスしてきたが、安定ヨウ素剤の服用には触れていなかったため再度助言した。安全委が公開した現地対策本部の指示案には、手書きで一定の計測値を超えた場合「除染及び安定ヨウ素剤の服用」を実施すること、と安全委が追加で記入している。

 安全委の都筑秀明管理環境課長は「コメントを加えた指示案はファクスで中央の対策本部に駐在していた安全委職員にまず送られ、対策本部の医療班に渡された。職員に聞き取り調査して確認した」と断言する。

 しかし、政府対策本部の松岡建志・経済産業省原子力安全・保安院原子力防災課長は安全委の作業部会で「当時の医療班や放射線班の人間にも確認したが、(安全委の)紙自体が確認できていない」と反論している。

 福島県によると、3月13日以降、各地の保健所や避難所などで検査したのべ約23万人のうち、1万3千cpm以上が約900人いる。大半が20日までの検査結果。ヨウ素剤を服用していれば、14、15日に第一原発で起きた爆発での被曝を軽減できた可能性がある。

 福島県の富岡町や川内村、三春町、楢葉町、双葉町は独自にヨウ素剤を配ったが服用したかどうかまではわからないという。

 安全委の作業部会は今回の経験から、対策本部のヨウ素剤服用の指示など従来の手順が適切かどうかについても議論している。(大岩ゆり)

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