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2012年1月19日3時0分
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福島の食事、1日4ベクレル 被曝、国基準の40分の1

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図:家族1人あたり1日の食事に含まれていた放射性セシウムの量拡大家族1人あたり1日の食事に含まれていた放射性セシウムの量

 家庭で1日の食事に含まれる放射性セシウムの量について、福島、関東、西日本の53家族を対象に、朝日新聞社と京都大学・環境衛生研究室が共同で調査した。福島県では3食で4.01ベクレル、関東地方で0.35ベクレル、西日本でほとんど検出されないなど、東京電力福島第一原発からの距離で差があった。福島の水準の食事を1年間食べた場合、人体の内部被曝(ひばく)線量は、4月から適用される国の新基準で超えないよう定められた年間被曝線量の40分の1にとどまっていた。

 調査は昨年12月4日、全国53家族から家族1人が1日に食べた食事や飲んだものをすべて提供してもらい行った。協力家族の居住地は、福島県が26、関東地方(群馬・栃木・茨城・千葉・埼玉・東京・神奈川)が16、中部(長野・愛知・岐阜・三重)、関西(大阪・京都)、九州(福岡)など西日本が11。普段通りの食材で料理してもらった。福島では、地元産の野菜などを使う人が多かった。

 1日の食事から取り込むセシウムの量は、福島県内に住む26家族で中央値は4.01ベクレルだった。この検査法で確認できる値(検出限界)以下の正確な値がわからないため、平均値ではなく、検出値を順に並べて真ん中に当たる中央値で分析した。

 この食事を毎日1年間、食べた場合の被曝線量は0.023ミリシーベルトで、国が4月から適用する食品の新基準で、超えないよう定めた1ミリシーベルトを大きく下回っていた。福島でもっとも多かったのは、1日あたり17.30ベクレル。この水準でも年間の推定被曝線量は0.1ミリシーベルトで、新基準の10分の1になる。原発事故前から食品には、放射性のカリウム40が含まれており、その自然放射線による年間被曝線量は0.2ミリシーベルト(日本人平均)ある。セシウムによる被曝線量はこれを下回った。

 調査した京都大医学研究科の小泉昭夫教授は「福島のセシウム量でも十分低く、健康影響を心配するほどのレベルではなかった」と話している。

 1963年から08年まで文部科学省が調べていた同様の調査では、60年代に米国、旧ソ連、中国が大気圏内で核実験を盛んに行っていたことから、日本の食卓で含まれていたセシウムの中央値は2.03ベクレル(63年)だった。今回の福島の水準は2倍程度といえる。

 食材とセシウム含有量の関係を統計学的に分析すると、福島県産の果物やキノコが多い食事ほど、セシウムの量が多かった。

 一方、東京や千葉、群馬などの関東地方に住む16家族のうち7家族は、検出限界以下だった。中央値は0.35ベクレル。年間の推計線量は0.002ミリシーベルトで、新基準の500分の1だった。西日本の11家族中10家族の家庭では検出限界以下だった。

■「自然放射線量よりはるかに低い」

 甲斐倫明・大分県立看護科学大教授(放射線防護学)の話 今回の調査で、これまでの食品規制などによる効果が検証できたといえるのではないか。結果から推定される年間の被曝線量は福島でも、食品にもともと含まれていて誰もが被曝しているカリウム40の自然放射線による被曝量よりもはるかに低い。セシウムの量はカリウム40摂取の個人差の範囲内と言える。今後も食事に含まれる放射性物質を監視し、コントロールしていくことが重要だ。

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