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【東野真和】岩手県の旧大槌町役場を保存するか解体するかを検討する委員会の初会合が10日、役場で行われた。席上、町職員の遺族の意見が二分されていることが報告され、委員になった2人も保存、解体で分かれた。年度末までに報告を受けた碇川豊町長が最終判断する。
委員は、豊島正幸・県立大総合政策学部教授を委員長に、識者、遺族、職員組合、町議と、町の将来を担う高校生の計11人で構成。
職員だった一人娘や夫を亡くした上野ヒデさん(70)は「半年後に初めて役場前に立った時、残さなきゃと思った。記憶や言い伝えは風化する。防災教育に使ってほしい。行けば今も足が震えるが、娘のものが何も残らなかったので、証しがほしい」と話した。
対して、職員の兄と両親ら家族6人を亡くした倉堀康さん(29)は「早急に解体してほしい、見るのもつらい。建物を残して何になるのか。存在をなくし、まったく違う場所に変えてほしい。残すなら他の施設もある。庁舎でなくてもいい」と主張した。
ただ、高台に移らなかったため多くの命が奪われたことに2人とも触れ、役場が危機管理を怠った点は後世の教訓にすべきだとの点は一致していた。
事前に職員の遺族に聞いた結果は、保存が38%、解体が49%だった。一方、職員への調査では保存が15%、解体が56%。解体意見は、地元職員に多かった。町幹部は「遺族には意外に保存を望み、職員は遺族に配慮した声が多かった」と話す。