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野田佳彦首相が16日の衆院解散を明言した。民主党が政権を奪って3年2カ月。被災地や原発立地県、企業城下町では懸案が山積だ。一方この間、永田町では政治家が政争や離合集散に明け暮れた。候補者が出そろわないまま、年の瀬総選挙が慌ただしく始まる。
■「議員は復興に汗を」
「解散の前に、被災地に向けてやるべきことは山ほどあるはず。国民そっちのけで政争に明け暮れているようにしかみえない」。東京電力福島第一原発の約30キロ西にある福島県浪江町津島地区から避難している団体職員、今野秀則さん(65)は憤りを隠さない。
復興にスピードが感じられず、失望を深めている。復興に名を借りた予算の流用も明らかになった。「このままでは被災者はますます置き去りになる。国会議員は被災地の復興や日本の将来のために、私たちと一緒に汗を流してほしい」
東日本大震災で被災し、仮設住宅で自治会長を務める宮城県南三陸町の農業、佐藤徳郎さん(61)は、民主党の「政治主導」に期待した一人だ。だが、代表まで務めた小沢一郎氏は、政治資金の問題で手腕を発揮できぬまま離党。解散はやむを得なかったと思う。
次の政権に求めるのは、きめ細かい農業政策だ。今の制度は大規模農家に適した仕組みになっていると感じる。首相は、日本の農業に打撃を与えかねない環太平洋経済連携協定(TPP)の交渉参加にも意欲を見せる。「リアス式海岸と山地に挟まれたこの町でも使い勝手のいい補助制度を作って欲しい」と注文をつけた。
TPP参加を望む声が根強い製造業界。「亀山ブランド」の液晶テレビ製造で、地元の雇用に貢献してきたシャープ亀山工場(三重県亀山市)に夫が勤める20代の女性は、「従業員はいつもリストラにおびえている。円高が止まらないと、工場が真っ先に閉鎖や移転になる」。シャープ本体は韓国・サムスンなどアジア勢との競争激化でここ数年、急激に収益が悪化。各党がどんな政策を打ち出してくるかに注目する。