ハマスとイスラム聖戦のパレスチナの主要過激派2派が29日、イスラエルへの武力攻撃を同日から3カ月間停止すると正式発表した。自治政府のアッバス首相が4月末の就任以来取り組んできた停戦交渉が、一応の決着をみた。イスラエル軍が過激派殺害・拘束作戦を続ければ停戦を破棄するとの条件付きだが、米国の圧力のもとでイスラエル軍の自治区撤退が始まれば、中東和平のロードマップ(行程表)に定められた義務のうち暴力停止が初めて実施段階に入ることになる。
イスラエル軍はガザ自治区から撤退して治安権限を自治政府に引き渡すことで合意しており、早ければ29日から30日にかけて撤退が始まるとみられる。パウエル米国務長官に続き、ライス大統領補佐官の訪問による米の強い説得で、双方が限定的ながら暴力停止に踏み切った形だ。ただイスラエル政府筋は29日、イスラエル放送に「一時的な停戦合意に何の関心もない」と述べ、テロ組織解体を伴わない停戦は無意味との見方を示した。テロ抑止を名目にしたイスラエル軍の作戦は今後も続く可能性もある。
朝日新聞が入手したハマスとイスラム聖戦の共同声明文によると、両過激派は、イスラエルへの攻撃について「今日から3カ月間停止する」と言明。その条件として、自治区封鎖などの停止や過激派殺害・拘束の停止、アラファト・パレスチナ自治政府議長の軟禁解除などを挙げている。
停止対象には、イスラエル国内のテロだけでなく、自治区内のイスラエル兵やユダヤ人入植者も含まれているとみられる。ただ、パレスチナ解放機構(PLO)主流派で停戦にも合意した政治組織ファタハの武装部門、アルアクサー殉教者軍団は28日夜、停戦を拒否する文書を自治区で配布した。同軍団は指揮系統がはっきりしないゆるやかな組織体で、末端組織の中に停戦に反発する勢力もあるようだ。そのため、散発的に武装闘争が続く可能性もある。
(06/29 23:33)
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