48年のイスラエル建国で住んでいた土地から脱出したパレスチナ難民のうち、現在はイスラエル領となっている自分の土地に帰りたいと考える人は1割前後にとどまる−−パレスチナのシンクタンク「パレスチナ政策研究センター」が13日公表した世論調査で、イスラエル国内への帰還よりもパレスチナ独立国家への帰還を望む難民の実態が明らかになった。
イスラエルは、国内に難民が帰還すれば「ユダヤ国家としてのイスラエルの特性が失われる」として、和平交渉の前提として帰還権の放棄をパレスチナ自治政府に迫ってきた。イスラエルと自治政府が鋭く対立してきた帰還権問題で、当事者の難民が厳密な意味での帰還にこだわっていないことを示した初の調査とみられる。
この調査結果はイスラエルに政治的に利用されかねないとして、同センターにはパレスチナ人の抗議が殺到。センターが13日記者会見を開いたヨルダン川西岸ラマラの会場周辺にはパレスチナ人が集まり、抗議のビラをまくなどして会見を妨害し、警察が出動する騒ぎになった。
イスラエル建国時に難民となったパレスチナ人は約70万人。国連によると、現在は約397万人がパレスチナと周辺国に住んでいる。調査は今年1月から6月にかけて、レバノン、ヨルダン、パレスチナ自治区に住む4500世帯の難民を対象に行われた。
難民の42%を占めるヨルダン居住者(総数168万人)のうち、イスラエル国内への帰還を希望するのは5.2%。37%がパレスチナ国家への帰還を希望、33%がヨルダンに住み続け、経済補償を受ける道を望んでいる。一方、38%を占める自治区内の難民(同151万人)は、12.6%がイスラエルへの帰還を、74.4%がパレスチナ国家に住むことを希望した。
(07/14 22:11)
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