パレスチナ自治政府のアッバス首相がイスラエルとの和平交渉の前面に立ち、かやの外に置かれたアラファト自治政府議長はいらだちが募っているようだ。アッバス首相の足を引っ張るような発言など、ここ1週間は不和ぶりが伝えられた。14日には和解の会談があったが、対立の構図は容易に変わりそうにない。
アラファト議長とアッバス首相は14日夜、ヨルダン川西岸ラマラの議長府で会談した。会談後、アッバス首相は報道陣に「内紛は終わった。すべてうまくいっている」と語った。首相は会談で、アラファト議長が最高指導者であることを確認したとされる。
しかし、カタールの衛星テレビ、アルジャジーラは同日、「議長は首相に脅威を感じている。対立の構図は変わらず、今後も火種は残るだろう」と伝えた。
騒動の発端は、今月7日にあったパレスチナ解放機構(PLO)主流派ファタハの中央委員会だった。議長側近とされる委員が首相の対イスラエル交渉姿勢を「弱腰過ぎる」と批判。「だったら中央委員を辞める」とアッバス氏も応酬した。アラファト氏はアッバス氏を擁護せず、沈黙していたという。
イスラエル紙ハアレツは11日、イスラエルのシャロン首相との首脳会談でシャロン氏と握手を交わしたアッバス氏について、議長が「裏切り者」呼ばわりしたと報じた。国連のラーセン中東特使と会談した場で、「アブ・マゼン(アッバス首相の通称)はパレスチナ人の利益を裏切った。どういうつもりでシャロン(首相)の横に立ってにこやかに振る舞っているのか」とやり玉にあげたという。
この言葉の真偽は不明だが、議長とアッバス首相の間に緊張関係が生まれているのは自治政府筋も認めている。「アラファト議長はアッバス首相が、自分の補佐役ではなく、(対等な)後継者になったと感じている。それが2人の緊張関係のもとだ」。自治政府のアムル情報相はロイター通信に語った。
(07/15 22:11)
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