パレスチナ自治政府のアッバス首相の辞表提出を受け、アラファト議長は7日、ヨルダン川西岸ラマラで、パレスチナ解放機構(PLO)主流派ファタハの中央委員会を招集、後任をめぐる協議を始めた。アッバス氏の再任も選択肢に入っている。一方、イスラエル軍の爆撃で創設者が負傷したイスラム過激派ハマスは「報復」を宣言し、中東和平の危機は一段と深まった。
自治政府筋によると、アッバス氏は後任が決まるまで暫定内閣を率いる。しかし、再任を受け入れるには、アラファト議長から権限委譲の譲歩を引き出すことが不可欠と考えているようだ。
アッバス氏は7日、再任を受け入れるかと質問した報道陣に対し、「それに言及するのは時期尚早だ」と語った。去就に含みを持たせたものと受け止められている。治安組織の再編問題などをめぐり、アラファト議長との間で妥協点を探る動きもあるという。
アッバス首相以外の候補としては、パレスチナ自治評議会議長アハメド・クレイ氏や、ラマラ在住の実業家らの名前も挙がっている。
クレイ氏は、93年にイスラエルとの間で合意した暫定自治宣言(オスロ合意)でPLO側の代表を務めた。現実主義的で穏健派といわれるが、アラファト議長の腹心の一人とされる。
しかし、イスラエルは「アラファトの支配下にある人物は受け入れられない」と公言。シャローム外相は7日、「アラファト追放は避けられない事態になった」とラジオ放送で語った。
欧州連合(EU)も強い懸念を表明。中東歴訪中のEUのソラナ共通外交・安保上級代表は「中東和平は今、もっとも重大な局面に直面している」と語り、一両日中にアラファト議長やアッバス氏と会談して亀裂の修復を呼びかける予定だ。
(09/07 23:11)
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