イスラエルで起きた連続自爆テロを受けて、イスラエル軍は11日朝、ヨルダン川西岸ラマラの議長府に近い自治政府文化省ビルの7階を占拠した。アラファト議長が軟禁状態に置かれている議長府をいつでも攻撃できる態勢を取ることで、自治政府とクレイ次期首相に過激派対策を迫る圧力をかけるねらいだ。インドから帰国したシャロン首相は11日中にも治安閣議を開く予定だが、政府筋はアラファト議長個人への報復も検討されると示唆している。
イスラエル放送などによると、文化省ビルと議長府の距離は約300メートル。イスラエル軍は最上階に当たる7階の職員を立ち退かせたという。軍幹部はイスラエル放送に「アラファトと自治政府への警告のための作戦だ」と説明した。
自治政府筋によると、9日のテルアビブ郊外の自爆テロでは、アラファト議長が率いる政治組織ファタハの武装組織、アルアクサー殉教者軍団も10日、犯行を認めた。議長直系の組織が犯行を認めたことで、治安閣議ではアラファト議長の影響力を断つための実力行使が必要だとの声が噴出するとみられる。シャロン首相は帰国前、同行記者団に「アラファト(議長)に対する何らかの決定を下す必要がある。アラファトがアッバス首相の辞任をもたらした。和平への一番の障害だ」と述べたという。
ただ、米政府はイスラエルが議長追放を強行して情勢が泥沼化することは望んでいない。シャローム外相も11日、「大半がアラファト追放を支持しているが、閣議での(追放をめぐる)採決は先送りされる可能性もある」と述べた。
(09/11 20:45)
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