テルアビブとエルサレムの連続自爆テロを受けてイスラエルは11日夕、治安閣議を開き、パレスチナ自治政府のアラファト議長を「和平への障害」として追放する方針を決定した。同時に、イスラエル軍に対して議長追放の具体策検討を指示することも決めた。アラファト議長は「徹底抗戦」を言明。パレスチナ情勢は一気に緊迫の度を増してきた。
閣議後に首相府が発表した声明は、アラファト議長を「イスラエルとパレスチナの融和プロセスに対する完全な障害」とし、「イスラエルはこの障害を、手段と時期を選んで排除する」と述べた。時期を明示しなかったものの、議長への実力行使を決めたことは、01年12月に議長との断交を決めて以来の踏み込んだ決定だ。
声明は「イスラエルはパレスチナ首相の人事には関与しない。テロ組織をただちに根絶する首相とのみ交渉する」とも述べた。
アラファト議長は同夜、ヨルダン川西岸ラマラの議長府前で、議長支持を叫ぶパレスチナ人の群衆を前に「私はここにいる」と演説し、イスラエルの方針に徹底抵抗する意志を明確にした。議長与党のファタハは同日、パレスチナの民衆に議長を守るために議長府に集まるよう呼びかけた。
イスラエルの閣議決定について、パレスチナのクレイ次期首相は「私に組閣から手を引かせる、深刻な決定だ」と述べ、首相就任の撤回を示唆した。
(09/12 10:38)
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