イスラエルがヨルダン川西岸パレスチナ地区で建設を進めている分離壁が国際法に違反しているかどうかを問う審理が23日、オランダ・ハーグの国際司法裁判所(ICJ)で始まり、パレスチナ代表らは「分離壁の建設はパレスチナ人の生活を破壊するばかりか、中東和平のプロセスを妨げる」と主張した。ICJが出す勧告的意見に法的拘束力はないが、中東紛争をめぐる国際世論に影響を与えそうだ。
パレスチナ国連代表部のアルキドワ代表は「土地を接収され、移動の自由を奪われた住民の生活が破壊されている」と述べ、占領下の文民に対する占領国の保護義務を定めたジュネーブ第4条約に違反していると主張。「(イスラエルとパレスチナの)2国家の共存構想を不可能にするものだ」と陳述した。
一方、イスラエル政府はかねて「テロ実行者の侵入を防ぐために分離壁は必要だ」と主張。1月には「ICJにこの問題を判断する権限はない」とする陳述書を提出し、審理そのものを黙殺する姿勢を示している。
法廷では25日までに16の国・地域・機関が陳述するが、その大半がパレスチナ支持派。アラブ連盟のムーサ事務局長も記者会見し、「壁の建設はパレスチナ国家樹立の夢をうち砕くものだ」とイスラエルを批判した。
結論は数カ月以内に示されるとの見方が強い。
国連総会は昨年12月、分離壁を国際法上どう取り扱うかについて勧告的意見を出すようICJに求める決議を採択した。この時はアラブ、イスラム圏諸国を中心に90カ国が賛成。米国、イスラエルが反対し、日本など74カ国が棄権した。
(02/23 23:32)
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