パレスチナ自治政府筋によると、22日午前5時(日本時間同日正午)すぎ、ガザ市にあるイスラム過激派ハマスの創設者で精神的指導者のアハメド・ヤシン師(65)の自宅付近に、イスラエル軍の武装ヘリが複数のミサイルを発射した。ガザ市内のモスク(イスラム教礼拝所)は拡声機で「ヤシン師が死亡した」と伝え、AP通信によるとハマスも殺害されたことを認める声明を出した。
ハマス最高指導者の殺害は、今後、イスラエルに対する深刻な報復テロを招く可能性がある。
同筋によると、ヤシン師は早朝の礼拝を終え、モスクから車で護衛とともに自宅に戻る途中だったという。ほかに数人が死亡したとの情報もある。現場周辺には多数の住民が繰り出し、「我々は彼(ヤシン師)の道を歩む」「アッラーの名にかけて報復を」などと叫んでいる。
イスラエル軍はこの攻撃について声明を出していない。ロイター通信によると、パレスチナ自治政府のクレイ首相は「混沌(こんとん)への扉を開く行為」とイスラエルを非難した。ヤシン師は昨年9月にもイスラエル軍戦闘機の攻撃を受け、軽傷を負った。
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ヤシン師はイスラエル占領下のガザで78年、ハマスの前身の組織を創設。87年から、占領に対する抵抗運動インティファーダを始めた。89年に逮捕されたが、97年釈放。パレスチナで「インティファーダの王」とたたえられていた。
(03/22 13:25)
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