イスラエル軍がイスラム過激派ハマスの精神的指導者ヤシン師を殺害した問題を受け、国連、米国、ロシア、欧州連合(EU)の4者協議は22日夜(日本時間23日未明)、カイロで緊急会合を開いた。事態沈静化の方策を話し合ったとみられるが、声明はないまま終わった。29、30日に開かれるアラブ首脳会議の主要議題にもなる見通しで、周辺国の外相が急きょエジプトに集まるなど余波は中東全体に広がっているが、具体的な善後策づくりは難航しそうだ。 カイロからの報道によると、4者協議の会合にはバーンズ米国務次官補や国連のラーセン中東特使らが参加。会合は1時間ほどで終わり、声明の発表はなく、4者協議が設計した中東和平の「行程表」を再び軌道に乗せる具体策を決めるには至らなかったようだ。
一方、アラブ連盟のムーサ事務局長は22日、チュニジアで1週間後に始まるアラブ首脳会議について「ヤシン師殺害の影響が中心議題になる」と語った。また、善後策を協議するアラブ各国首脳の接触があわただしく始まっている。
AP通信によると、シリアのシャラ外相、レバノンのオベイド外相が22日、エジプトのマヘル外相との協議のためカイロに向かった。シャラ外相は「エジプトのムバラク大統領に、ヤシン師殺害とアラブ諸国の情勢に関するアサド大統領の書簡を届ける」と記者団に語った。
パレスチナ過激派による殺害への報復は、散発的に始まっている。22日夜、ガザ自治区北部から少なくとも3発のロケット弾が発射され、イスラエル領内に着弾した。イスラエル軍は同夜、攻撃を阻止するため、ガザ北部のベイトハヌーン地区に侵攻した。ガザ自治区内のユダヤ人入植地や軍の監視所も、迫撃砲などによる攻撃を受けた。
イスラエル国内では同日、パレスチナ人やアラブ系住民によるとみられる連続傷害事件が起き、計6人が負傷した。同国西部の港湾都市ジャッファでは22日夜、路線バスの車内で乗客3人が刃物を持った男に襲われ、軽いけが。イスラエルメディアは逃走した犯人がアラブ系の若者だったと伝え、「報復を狙った犯行の可能性がある」としている。
一方、パレスチナ各地に広がった抗議デモ隊とイスラエル軍との衝突による死者は、22日夜までに計5人になった。
(03/23 12:23)
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