パレスチナのイスラム過激派組織ハマスの政治部門最高幹部、アブドルアジズ・ランティシ氏は23日、イスラエル軍の空爆で殺害された創始者ヤシン師の後継として自らが指導者に就任したと宣言した。ランティシ氏はハマス内の最強硬派で、今後同組織はイスラエルに対する武装闘争を激化させる可能性が高い。
ランティシ氏は23日夜、ガザ市内の競技場で催されたヤシン師の追悼集会に姿をみせると、数千人の支持者を前に指導者就任を宣言、さらにハマスの軍事部門に対し「シャロン(イスラエル首相)に教訓を与えよ。いつ、いかなる場所にあっても敵(イスラエル)を攻撃せよ」と訴えて、イスラエルとの全面対決姿勢を強調した。
昨年6月にハマスを含むパレスチナの主要過激派が一時的なテロ停止を決めた際も、ランティシ氏は最後まで反対したとされ、停戦に前向きだった現実派のヤシン師との対立も伝えられていた。かつて朝日新聞の取材に対し、「イスラエルがパレスチナの街を攻撃しているのに、我々がイスラエルを攻撃できないのはおかしい」と述べ、一般市民を巻きぞえにする自爆テロを正当化する姿勢をのぞかせたこともある。アラファト自治政府議長のテロ停止の呼びかけにも、耳を貸さなかった。
今後のハマスの戦略がどうなるかは、ランティシ氏が作る新指導部の中で穏健派がどれだけの発言力を確保するかに左右されるが、最強硬派のランティシ氏が最高指導者の地位につくことでハマスの姿勢が一層攻撃的になることは避けられそうにない。イスラエルのチャンネル2テレビのアラブ問題解説者は、ハマスが従来の活動範囲を超えて、海外のユダヤ人やユダヤ関係施設をも攻撃の対象に加える可能性さえ指摘している。ヤシン師殺害後に、あらゆる過激派幹部の殺害を明言したイスラエルが、同氏を対象にした作戦を急ぐ可能性もある。ランティシ氏は昨年6月、イスラエル軍のミサイル攻撃を受けて負傷している。
(03/24 12:35)
|