イスラム過激派ハマスの最高指導者ヤシン師を殺害したイスラエルの次の標的として、アラファト自治政府議長が浮上してきた。ハマスが大規模な報復テロに走れば、イスラエルがアラファト議長の排除に踏み切るかもしれないとの憶測がパレスチナを駆けめぐっている。
イスラエルのシャローム外相は22日、訪問先のワシントンで「アラファト議長を殺害する計画はない。焦点は過激派だ」と述べた。イスラエルは昨年9月、過激派対策を取れない議長を「和平の敵」として排除する閣議決定を下したが、実行に移す可能性を否定したものだ。しかし、それと相反するような発言が政府や軍から漏れ、パレスチナ側の憶測に拍車をかけている。
「彼らは身に迫るものをわかっていると思う」
含みある発言の主は、イスラエル軍のヤアロン参謀長。「彼ら」は、アラファト議長と、レバノンの武装組織ヒズボラのナスララ党首を指す。シャロン首相側近のアモス・ギラド氏も22日、「アラファト(議長)はヤシン師より危険な男」と語り、「次の標的」をにおわせた。
アラファト議長が危機を迎えるのは、ハマスが宣言通り大規模な報復テロに打って出た時だ。しかし議長の過激派に対する統制能力はすでに相当ほころびを見せている。加えて、ヤシン師の後継の座にハマス最強硬派のランティシ氏が就いたことで、これまで議長の指示のもと歴代首相が続けてきた停戦工作は一層困難になる。
ヨルダン川西岸ラマラの議長府で軟禁状態にあるアラファト議長は24日、「一般市民を傷つけてはならない」とハマスに報復自制を呼びかけたが、影響力については疑問視されている。
(03/25 00:46)
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