ギリシャの観光開発などをめぐるシャロン首相の不正資金疑惑を捜査していたイスラエルの主任検事は28日、首相の起訴を検事総長に勧告し、起訴状の草案を提出した。勧告を受けて検事総長が起訴の可否を最終判断する。イスラエルのメディアは、検事総長の判断には少なくとも1カ月はかかると伝えている。
シャロン首相は一貫して疑惑を否定しているが、野党だけでなく連立与党内からも辞任要求の声が出始めており、シャロン連立政権は存続の危機に直面している。今後、起訴される事態になれば首相の進退問題に発展するのは確実で、展開次第では混迷しているパレスチナ情勢にも影響が出そうだ。
ハアレツ紙論説委員のアキバ・エルダール氏は「連立与党内で不協和音が広がるのは確実で、シャロン首相が主唱してきたガザ入植地撤退計画にも影響が出る可能性がある」と指摘する。
贈賄側の開発業者ダビド・アッペル容疑者は1月に起訴されている。その起訴状によると、ギリシャの観光リゾートとイスラエル中部の不動産開発を計画していたアッペル容疑者は、首相の有利な取り計らいを期待し、首相の息子ギラド・シャロン氏をコンサルタントとして雇用。99年から01年にかけて10万ドルを超える金をギラド氏に払ったほか、シャロン一家が所有する農場にも約70万ドルがアッペル容疑者側から流れたとされる。
シャロン首相がこれらの資金のわいろ性を認識していたかどうかが焦点で、首相は警察の2度にわたる事情聴取に疑惑を否定していた。主任検事は首相が否認しても公判維持が可能だと判断したようだ。
イスラエルでは97年、ネタニヤフ首相(当時)の検察人事をめぐる不正疑惑が浮上、警察当局が首相の起訴勧告を出したが、不起訴処分に終わったことがある。
(03/28 20:58)
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