主要8カ国(G8)の外相会合は23日、イラク問題などを話し合う2回目の会合が開かれ、閉幕した。会合後に議長国のフランスが発表した議論内容の要約文書には、G8の文書として初めて北朝鮮の拉致問題が盛り込まれた。会合では、各国は国連安全保障理事会で対イラク経済制裁解除決議が採択されたことを歓迎したが、イラク国民によるイラク政府樹立への道筋が描かれていないなどの批判も出た。
議長要約は、北朝鮮の核開発問題を「国際社会の平和と安定に対する脅威」と位置づけ、北朝鮮に対し、「状況を悪化させる行動を抑制し、完全、即時の検証可能で不可逆的な核兵器計画の廃棄」を求めた。拉致については、「未解決の人権問題の包括的な平和的解決を探る努力を支持する」との形で取り上げた。川口外相は会合後の共同記者会見で「拉致問題が人権にかかわる重要な問題としてG8各国の理解が得られた」と述べた。
日本外務省によると、川口外相はイラク問題について、国際社会の人道・復興支援を本格化させる必要があると訴えた。一部の参加国からはイラク国民による政府樹立に向けた政治プロセスが不透明との指摘もあったが、米英側は「イラクには代表者を選ぶ伝統的システムがなく、道筋の提示は現実問題として困難。政治プロセスの今後は忍耐を持って見て欲しい」と応じた。
新型肺炎のSARSでは、川口外相が「アジア、世界の経済に影響する地球規模の問題だ」と指摘。中東和平問題も焦点となり、パレスチナがテロを放棄するとともに、イスラエルが中東和平のロードマップを受け入れることが必要だとの立場で各国が一致した。
川口外相は、パウエル米国務長官とも5分程度の立ち話をした。日本外務省によると、川口外相はパウエル長官に対し、「北朝鮮問題は平和的・外交的手段による解決が必要」と訴えた。
(05/24 00:26)
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