北京で今月20、21の両日、超党派の国会議員でつくる「北朝鮮に拉致された日本人を早期に救出するために行動する議員連盟」(拉致議連)事務局長の平沢勝栄衆院議員(自民党)らと接触した北朝鮮政府高官が、日本に帰国した蓮池薫さんら拉致被害者5人の家族について、「被害者が平壌空港に迎えに来れば帰してもいい」と提案していたことが明らかになった。これに対し平沢氏らは、「外務省を通じて話をすべきだ」と応じたという。
関係者によると、3回にわたった会談の席上、日朝交渉担当の鄭泰和大使が「被害者や議員、マスコミが迎えに来ればいい」と家族の帰国を提案。一方で「我が国は個人を尊重する国だ」と、帰国は北朝鮮に残された家族の意向次第だとの考えを示したため、平沢氏らは「それでは日本に帰って来られる保証がない」と難色を示したという。
また、平沢氏らが「どうして政府間で話をしないのか」とただしたのに対し、北朝鮮側は、「日本の外務省に不信感がある」と答えたという。
北朝鮮側はこれまでも日本政府に対し、被害者5人に限って家族を帰国させる案を非公式に打診してきている。ただ政府は、5人の被害者の家族の帰国だけでなく、北朝鮮側が「死亡した」としている被害者の事案なども含めた全面的な解決を求める方針を崩していない。
北朝鮮側の提案について小泉首相は25日昼、「帰国させる気なら、外務省に連絡があると思う」と記者団に語った。また、福田官房長官は同日午前の会見で「政府は政府のルートを持っている。政府が中心となってきちんとしたルートでやるのが本筋だ」と語った。
(12/25 13:27)
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