非政府組織「北朝鮮難民救援基金」は13日記者会見し、同基金の国際問題担当で埼玉県在住の野口孝行さん(32)が、北朝鮮から中国国内に脱出した住民(脱北者)2人とともに1カ月以上、中国の公安当局に拘束されていると発表した。脱北者支援の日本人活動家が拘束されるのは3件目。これまでは3週間以内に釈放または国外退去とされてきた。日本の外務省が中国当局に釈放を求め交渉している。
同基金の加藤博事務局長によると、脱北者は東海地方出身の40代女性と西日本出身の50代男性。2人とも60年代に「帰還事業」で北朝鮮に渡った元在日朝鮮人で、北朝鮮では近所同士だったという。
同基金は昨年12月2日に女性の親族の依頼を受けて野口さんを派遣、同6日に大連で2人や通訳の中国人女性と落ち合った。中国を縦断し東南アジアに出国する予定だったが、10日午前、中国南部の桂林からの電話を最後に、連絡が途絶えた。
外務省からは16日、「他人を不法に越境させた罪で野口さんを13日拘束し、南寧市の看守所に留置した、と公安当局から連絡があった」と報告があった。広州の日本総領事館が18日に野口さんと面接し、拘束を確認した。
脱北者支援の日本人活動家が中国で拘束されたのは、02年10月に大連で拘束された同基金の加藤博事務局長、03年8月に上海で拘束された「北朝鮮帰国者の生命と人権を守る会」の山田文明代表の例がある。それぞれ1週間、3週間で日本に送還されている。
同基金は、野口さんら、脱北者支援活動中に中国に拘束された日韓の活動家の早期釈放と、拘束された脱北者を北朝鮮に送還しないことを、中国政府に求めている。
中国大使館(東京)の黄星原・報道参事官は野口さんが拘束されていることを認め、「外国人は中国では国内法を守り、犯罪行為をしないでほしい」と語った。
(01/13 19:13)
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