北朝鮮を訪問している外務省北東アジア課首席事務官らは、麻薬密輸容疑で拘束された男性と、中国から不正入国し亡命申請した女性の日本人2人と15日に平壌で面会したが、政府関係者によると、拉致問題の政府間協議に応じるよう呼びかけたものの、16日夜までに前向きな反応はなかった。事務官らは17日に帰国する。
外務省幹部によると、日本側は北朝鮮外務省側に拉致問題での政府間協議を求めるなど、日本政府の考えを説明したという。しかし、北朝鮮側は事務官らを受け入れた目的は「あくまで領事面会だ」として、拉致問題について話し合うことには否定的な姿勢を見せているという。
外務省幹部は「最終日の17日までに北朝鮮側が拉致問題に言及するとしても、『拉致被害者5人が平壌に迎えに来て、帰国するかどうかは被害者の子供たちの意思に任せる』という従来からの提案以上のものはないだろう」とみている。
一方、政府は北朝鮮が拘束している日本人男性らとの面会を認めたこと自体は、北朝鮮が拉致問題を解決する意思を持っている「サイン」の一つと受け止めている。今回の事務官らの訪朝で拉致問題に関して進展がなかったとしても、次期6者協議をにらみつつ、北朝鮮が日朝関係打開の動きを加速する可能性はあるとみて、引き続き拉致問題に関する政府間協議を求めていく方針だ。
(01/17 03:07)
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