拘束中の邦人と面会するため北朝鮮を訪問していた外務省北東アジア課の首席事務官が17日に帰国した。首席事務官は拉致問題での政府間協議に応じるよう申し入れたが、北朝鮮側は「部内でしかるべく報告する」との返事にとどまった。また、北朝鮮側は「約束通り、一時帰国した5人を平壌にかえすべきだ」との従来の主張を繰り返し、被害者家族の帰国についての言及はなかった。
日本外務省の説明によると、平壌を訪問した首席事務官と北京大使館員ら4人に応対したのは、北朝鮮外務省の日本担当者2人。日本側が政府間協議の開催と、そのための話し合いを平壌滞在中にすることを提案したが、北朝鮮側は「そうした話し合いは今回の訪朝の目的外だ」として応じなかったという。
外務省幹部によると、北朝鮮側は「今回は(拘束された日本人との)面会に来たはずなのに、日本では別の目的で来たかのように報道されている」などとも発言したという。
今回の平壌訪問について、外務省は「一昨年の被害者帰国以来、初めて平壌で両政府が直接に接触したことは意義があった」(北東アジア課)とするが、北朝鮮側が新たな姿勢を示さなかったため、「言いたいことはきっちり伝えたので、あとは相手の出方を見守る」(外務省幹部)という方針だ。
北朝鮮は今月になって、麻薬密輸容疑で昨秋から拘束されている日本人男性の面会を認めると日本政府に通知。これを受けて首席事務官ら4人が男性の身元確認などのために13日から平壌を訪問していた。この男性のほか、亡命申請をして平壌に滞在している日本人女性とも面会し、北朝鮮当局者から説明も受けたという。
(01/18 01:18)
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