「北朝鮮による拉致被害者家族連絡会」は17日、東京都内で総会を開き、「拉致議連」の平沢勝栄衆院議員らが昨年末、北京で北朝鮮高官と会談した際、「拉致被害者5人が北朝鮮まで迎えに来たら家族をかえす」との条件を示されたことへの対応を協議した。総会後の会見で、同会は「政府間で公式に示された話ではない以上、北朝鮮の揺さぶりにすぎず論評に値しない」との認識を示し、提案には応じない、という見解を発表した。
平壌への出迎え案には、帰国した拉致被害者5人の家族から、「政府間で話がまとまれば検討の余地はある」などという声も出ていた。
総会には家族約20人と、平沢議員らが出席した。会見や出席者によると、総会では、北京の会談に出席した支援団体「救う会」の西岡力副会長らが、会談の内容を説明した。同氏は「非公式の接触であるうえ、北朝鮮側が『空港まで迎えに来たら120%かえす』『3月20日までにかえす』などと言った話はいずれも後日、仲介者を通じて伝わってきた話で信用できない」とした。
一部の家族から「解決の道を見いだすために」として、提案への前向きな発言もあった。しかし最終的には説明を聞いて、やはり乗るわけにはいかない、ということで一致したという。
会見で、地村保志さん(48)の父保さん(76)は「日朝間の交渉が停滞して子どもたちが帰って来ないことで、息子らは私たちが20年前に味わった苦しみを味わっている。こんなことをさせてはならない、少しでも解決の道を見いだしたいと思って(平壌への出迎えに前向きな)発言をしたが、きょうの会合で、北朝鮮のことばは揺さぶりだと聞いた」と述べた。
家族会は、衆参両院に拉致問題を審議するための特別委員会設置を求めており、16日の国対委員長会談で設置の見送りが決まったことに対しても「この問題が軽視されているのかと思うと腹が立つ。早く特別委を設置し拉致を集中審議してほしい」と改めて求めた。
(01/17 21:25)
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