理由もなく行方不明になった人の調査を進めている「特定失踪(しっそう)者問題調査会」により、「北朝鮮による拉致の疑いが濃い」とされた失跡者13人の家族らが、29日、それぞれの地元の警察で、国外移送目的略取の疑いで一斉に告発状を提出した。調査会は同日、警察庁に関係者の事情聴取などを進めるよう求める要請文書を渡した。日本弁護士連合会にも、人権救済を文書で申し立てた。
調査会が拉致の疑いが濃いとする失跡者は16人だが、残る3人はすでに警察に告発や捜査依頼をしている。
今回の告発状のほとんどは「容疑者不詳」だが、神戸市のラーメン店員金田竜光さんのケースでは、拉致にかかわったとみられる在日朝鮮人や北朝鮮工作員を容疑者として明記している。
調査会は16人について、亡命した元北朝鮮工作員による目撃証言があることや、自分の意思で失跡する可能性が考えられない――などから拉致の疑いが濃いと判断したという。
記者会見した荒木和博・調査会代表(拓殖大学助教授)は、「16人は氷山の一角と思う。告発状の提出をきっかけに、国はすべての拉致被害者の調査をしてほしい」と話した。
(01/30 00:30)
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