72年に青森市の飲食店員の女性(当時25)が行方不明になった事件をめぐり、別の事件で強盗致傷などの罪に問われた男性被告が7日、「女性の死体を遺棄した」と青森地裁の公判で告白した。女性は「北朝鮮に拉致されたのではないか」と家族から届け出があったとして、拉致被害者の支援団体「救う会」が設けた「特定失踪(しっそう)者問題調査会」が公表したリストに載っている。
「死体遺棄」を告白したのは住所不定、無職成田隆一被告(60)。7日の弁護人の冒頭陳述によると、当時はタクシー運転手で、知人の男性に呼ばれて青森市内のホテルに迎えに行くと、室内で女性が死んでおり、この男性と一緒に遺体を郊外に捨てた。女性が死亡したのは、知人が過って窒息させたためという。
この知人は、朝日新聞の取材に対し、女性の勤務先の店に出入りして顔見知りでもあったことは認めているが、死亡や死体遺棄とのかかわりについては、「心外だ」と否定している。
成田被告は、公判中の強盗致傷事件で無罪を主張。弁護人によると、この事件の数日前からのアリバイを立証するため、「死体遺棄」に関してテレビ局の取材を福島県内で受けていたことなどに触れざるを得なくなったという。
被告の証言について、女性の兄は「ショック。納得できないので詳しいことを知りたい」と話している。青森地検は「ノーコメント」とし、県警も「裁判で出た話を、すぐにいちいち調べるほど余裕はない」としている。
(04/08 21:10)
|