|
小泉純一郎首相と朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の金正日(キム・ジョンイル)総書記は22日の会談で、拉致被害者5人の家族8人のうち、蓮池さん夫妻と地村さん夫妻の子供計5人の帰国で合意した。5人は同夜、政府専用機の予備機で帰国し、1年7カ月ぶりに両親と再会した。首相は曽我ひとみさんの夫で脱走米兵とされるジェンキンスさんと子供2人に会い、帰国・来日を促したが受け入れられず、近く北京などで曽我さんと再会できるよう調整する。総書記は安否不明者10人について再調査を約束。首相は食糧25万トンなど人道支援を行い、近く国交正常化交渉を再開する方針を表明した。しかし、拉致被害者の関係者からは「想定していた範囲で最悪の結果だ」との批判が出ている。
帰国したのは、蓮池薫さん・祐木子さん夫妻の長女(22)と長男(19)、地村保志さん・富貴恵さん夫妻の長女(22)と長男(20)と次男(16)の計5人。
一行は政府専用機の予備機で、同日午後9時ごろ羽田空港に到着。出迎えに上京していた両親と1年7カ月ぶりの再会を果たした。
日本側の説明によると、小泉首相は首脳会談で被害者家族8人について「今日にも一緒に帰れるようにしてほしい」と求めた。総書記も「行きたい人には行ってもらう。離散家族を作る必要はない」と応じた。だが、ジェンキンスさん(64)については来日を望んでいないとして、首相自身が本人を説得することを提案。「どうしても拒否されるなら、北京で会ったらどうか」と述べた。
これを受け、首相はジェンキンスさんと長女・美花さん(20)と次女ブリンダさん(18)に会い、約1時間にわたって帰国・来日するよう説得したが、ジェンキンスさんは、来日すれば脱走兵として米国に引き渡される可能性があることに強い懸念を表明。2人の娘も「まずお母さんが戻ってきてほしい」と曽我さんの訪朝を求めた。このため、首相が北京など第三国での再会を提案すると、3人は「歓迎する」と受け入れた。政府は中国当局と協議し、近く北京などでの再会を目指す方針だ。
一方、横田めぐみさんら北朝鮮が「死亡」「入国の事実がない」などとしている10人について、首相は「きちんとした真相究明が行われる必要がある」と迫った。さらに、今後も新たな拉致被害者と認定される行方不明者があれば、同様に真相究明を求めると述べた。70年にハイジャック事件を起こして北朝鮮に亡命し、その後拉致事件への関与が疑われている「よど号」事件のメンバーの引き渡しも要求した。
首相は22日夜、家族会への報告の中で、総書記が10人の安否不明者について「そんなに言うなら白紙の状況で再調査をしよう。疑問の点があるなら、日本も参加して結構だ」と述べたと説明。首相は記者団に日本側も参加した調査委員会などの設置を念頭に置いていることを明らかにした。
◇ ◇
22日行われた日朝首脳会談で両首脳が合意した項目は、日本側の発表によると次の通り。
(1)日朝平壌宣言を履行していく考えを改めて確認し、日朝間の信頼関係の回復をはかるために小泉首相が訪朝した。
(2)北朝鮮側は人道的観点から拉致被害者の蓮池さん、地村さんの家族計5人の同日中の帰国に同意。曽我さんの家族は早期に北京で再会するよう調整する。
(3)安否不明の拉致被害者については、北朝鮮側がただちに真相究明のための調査を再開。
(4)日本側は国際機関を通じて、今後1、2カ月以内に食糧25万トン及び1000万ドル相当の医薬品などの人道支援を行う。
(5)双方は日朝平壌宣言を順守。その精神にかんがみ、日本側は制裁を発動する考えはない。
(6)日本側は在日朝鮮人に差別などが行われないよう友好的に対応。
(7)双方は核問題の平和的解決をめざし、6者協議の進展に努力する。
(05/23 01:25)
|