曽我さん一家の来日が18日に実現することが決まった。再会の場を提供したインドネシア政府やジャカルタに同行している北朝鮮関係者は戸惑いやいらだちを見せている。長期滞在から早期来日へと方針が変わる中、両国が「蚊帳の外」に置かれた格好になっているからだ。
14日夜8時すぎ、曽我さん一家と同じホテルに滞在する北朝鮮関係者の部屋から2時間近い協議を終えた日本政府関係者3人が出てきた。約30分後、部屋から現れた北朝鮮外務省のカン・ドンゴン研究員は表情が硬く、「ジェンキンスさんとの面会を要請したのか」との質問には無言だった。
9日のジャカルタ到着以来、北朝鮮側は日本政府にジェンキンスさんとの面会を何度も求めた。だが、日本側は「家族だけで静かな時間を過ごさせたい」として断り続けてきた。
外交筋によると、北朝鮮側は、インドネシア政府に対して日本との仲立ちを依頼。インドネシア側から日本側に「善処」の要請が寄せられている。インドネシア外務省のマルティ報道官は14日、「曽我さん一家の意思は尊重されるべきだ。だがこの問題に関心と憂慮を持つ国があることも忘れてはいけない」と述べ、日本に対し、北朝鮮への配慮を求めた。日本側も15日夜、ジェンキンスさんと北朝鮮関係者を面会させる方向で調整を始めたことを明らかにした。
外交筋によると、インドネシアには(1)40年来の友好国である北朝鮮との関係にひびが入るようなことは避けたい(2)米国との間に犯罪人引き渡し条約がないことから再会の場を提供したのに、引き渡し問題を棚上げにしてジェンキンスさんを日本に向かわせるという方針は理解できない――との思いがある。
インドネシア政府高官の一人は15日、「ホスト(インドネシア)にきちんと説明する必要があることを日本も理解すべきだ。日本は自分たちのことしか考えていないように見える。『協議』と『説明』を心がけてほしい」と、不快感を示した。
(07/16 01:17)
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