訪米中の中川秀直自民党国対委員長は20日、ワシントンで国家安全保障会議(NSC)のグリーン上級アジア部長と会談した。グリーン氏は拉致被害者曽我ひとみさんの夫ジェンキンスさんの訴追問題について、米軍規律への悪影響をあげて「ブッシュ大統領が特赦をするのは非常に困難だ」との考えを示した。また、在日米軍再編の中で沖縄駐留の米海兵隊の一部訓練を将来、豪州で実施する構想を明らかにしたが、大規模な削減は想定していないことを伝えた。
会談で中川氏はジェンキンスさんの取り扱いについて、「日本から出国せず、しかも有罪にならないようにしてほしい」と要請。グリーン氏は「曽我さんがかわいそうだということは大統領もわかっており、同情している」としながらも「(ジェンキンスさんの)四つの罪は重大だ。自ら逃亡しただけではなく、仲間もそそのかした罪は重い」と強調。現在、イラクに展開している米兵の士気に与える悪影響も理由にあげて、特赦ができない事情を説明した。
グリーン氏は今後の対応について「日米両首脳の関係はよく、できるだけ(軍事)裁判所での手続きを踏まえながら、日本国民や曽我さん一家の気持ちを考え、何とかなると思う」述べ、軍法会議に応じれば司法取引などによって柔軟な対応ができることを示唆した。さらに「日米間の重要な問題にならないと自信がある。落としどころはあるだろう」とも語り、具体策には触れなないものの、両国が納得する形での解決がありうるとの見方も示した。
また在日米軍の再編問題についてグリーン氏は「日本がやる気ならば、米国にもやる気は十分にある。来年か再来年にはビッグバン(大規模な再編)が可能だと思う」と強調。「横田や厚木、岩国などのかなりの(在日米軍)基地の統合・縮小につながる可能性がある。そしてかなりの部分が返還されるということもありうる」との見通しを示した。ただし、そのためには「新しい施設も必要だし、首相官邸の指導力も必要だと思う」と付け加えた。
沖縄に駐留する海兵隊については「豪州北部に建設予定の大規模な訓練施設ができれば、海兵隊の訓練を豪州で行うこともできるので、負担の軽減はかなりできる」との考えを示したが、「大きな縮小という話ではない」と強調した。米軍普天間飛行場の移転をめぐっては「日米特別行動委員会(SACO)の合意をしっかりと実現していく」と述べるにとどめた。
(07/21 10:39)
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