北朝鮮による拉致問題をめぐる日朝実務者協議が8月中旬に開かれる見通しとなった。北朝鮮側が協議に応じる姿勢を見せており、日本政府は平壌で開く方向で調整を進めている。横田めぐみさんら安否不明者10人の再調査で、具体的な回答を北朝鮮側から引き出せるかが最大の焦点だが、よど号犯の帰国や北朝鮮への人道支援なども話し合われる。また、日朝国交正常化交渉は8月中の開催を見送り、実務者協議の結果や6者協議の推移を踏まえて9月以降の開催を模索する。
政府は、曽我ひとみさん一家の帰国・来日で「拉致被害者5人の家族8人の帰国」が実現したことを受け、日朝国交正常化交渉再開の環境が整ったと判断している。ただ次回交渉で具体的な進展が必要になるとの観点から、まず8月に実務者協議を開き、5月の日朝首脳会談での合意事項などを話し合うことにした。
複数の政府関係者によると、日本側は、早ければ8月の第2週に協議を開くことを検討しており、10日から平壌で協議する案を軸に北朝鮮側と調整している。出席者も調整中だが、北朝鮮側が宋日昊(ソン・イルホ)外務省副局長の場合は斎木昭隆・外務省アジア大洋州局審議官を派遣する見通しだ。
今回の協議では、横田めぐみさんら北朝鮮が「死亡」「入国の事実がない」などとした安否不明者10人らの問題が取り上げられる。5月の日朝首脳会談で金正日(キム・ジョンイル)総書記は「白紙に戻して再調査する」と小泉首相に約束したが、現時点で北朝鮮側から報告はない。実務者協議で北朝鮮側がどのような回答を示すかを注目している。
川口外相は23日の記者会見で「北朝鮮はいま委員会をつくって調査をしているということだが、できるだけ早く結果あるいは過程を示すことが非常に大事だ」と述べ、実務者協議では途中経過であっても調査内容を示すよう北朝鮮側に求める考えを明らかにした。
また、協議では日本側が決めた食糧25万トンなどの人道支援の準備状況や、北朝鮮が帰国に「反対しない」との姿勢を示している「よど号」ハイジャック事件の実行メンバー4人の扱いについても協議する予定だ。
(07/24 06:28)
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