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石綿を含んだパッキンが開口部に使われている業務用オーブン。死亡した男性も類似の機器を使っていたとみられる(ひょうご労働安全衛生センター提供) |
神戸市灘区のパン職人の男性が昨年、68歳でがんの一種の中皮腫で死亡したのは、職場のオーブンに使われていたアスベスト(石綿)が原因だとして、遺族が28日、神戸西労働基準監督署に労災申請した。石綿に関して食品分野で勤務していた労働者の申請は異例。厚生労働省は同様の被害が広がっている恐れもあるとして、労基署を通じて調査に乗り出す。
申請したのは男性の妻(66)と長女(38)。男性は中学卒業後、兵庫県内の製菓会社やレストラン、ホテルなどでパンやケーキ作りの職人として50年以上働いた。01年6月、背中の痛みや発熱を訴えて悪性の中皮腫と診断され、04年6月、神戸市内の病院で亡くなった。
遺族はパンを焼くオーブンの内部や開閉部のパッキンに石綿が断熱材として使われ、老朽化で飛散した石綿を男性が日常的に吸う環境にあった、と主張。耐熱手袋にも石綿が使われていたとしている。
当時、勤務先にあったオーブンの製造元や型式がわかる資料が残っておらず、石綿を吸ったとみられる施設は特定できていない。だが、労働者の支援団体「ひょうご労働安全衛生センター」(神戸市)によると、80年代以前に製造された業務用オーブンの大半に、白石綿を含む断熱材が使われていたという。
男性は生前、医師から建設現場などでの就業経験を聞かれたが、心当たりがなく、「なぜ自分が中皮腫になったのかわからない」と繰り返していたという。妻は「労災認定が夫の疑問を解くことになると思い、申請を決意した」と話している。