アスベスト(石綿)による健康被害で問題となっているがんの一種の中皮腫(ちゅうひしゅ)について、厚生労働省は18日、石綿との因果関係についての医学的な裏付けは求めない方向で労災の認定基準を見直す方針を決めた。これまでは中皮腫と診断された上、石綿との関連性について医学的な証明を求めていたが、手術など患者の体力的な負担が大きいとして、基準の緩和に向けた専門家による検討会を立ち上げる。尾辻厚労相が18日の会見で明らかにした。
現行の認定基準は、中皮腫と診断された人のうち、1年以上の石綿暴露作業歴があり、かつ石綿暴露による中皮腫かどうかの医学的所見があることが条件となっている。医学的所見については、肺の中に実際に石綿繊維が存在するかどうかを確認するなどの手法が取られ、ときに胸腔(きょうくう)鏡検査や開胸手術などを伴うため、患者らから改善を求める声が上がっていた。
会見で同相は、「検査には大変苦痛を伴うこともあるので、基本的には中皮腫というのはアスベストが原因だと考えるのがいいと思っている。直ちに専門家による検討会議を立ち上げるように指示した」と語った。
同相はまた、過去にアスベストが原因だという厳密な証明がないため労災認定を受けられなかったケースについても、「併せて検討したい」と述べた。
今月発表された04年の人口動態統計によると、中皮腫による死亡者数は953人で、統計を取り始めた95年と比べるとほぼ倍増。この10年間で7013人が亡くなっている。一方、95年度から04年度の間に中皮腫の患者で労災の認定を受けた人は419人にとどまっている。